本とタバコ / 村上春樹
コロナ禍で唯一よかったな、と感じるのは村上春樹が日本に滞在し続けている事だ。
村上Radio、抜群ですね。
始まるまで、メディア嫌いの氏の声を定期的に聴けるなんてゆめゆめ思わなかった。
こんなnoteタイトルなので村上春樹が好きである。
氏の本にはたくさんのタバコが登場し、煙となっているが、本人は3作目の『羊をめぐる冒険』執筆以降禁煙している。
作品を通して多くのタバコが登場するが、
風の歌を聴け
1973年のピンボール
羊をめぐる冒険
の3部作にはこれでもかってくらいタバコを吸いまくっている。
特に印象的なシーンは
『風の歌を聴け』で小指のない女の子と初めて会った日に裸で朝を迎え、苛立ちを隠せない女の子がひっきりなしに吸うタバコだ。
8月の暑い午前中、海沿いの道を、主人公の僕は車で彼女の職場まで送る。酔っ払った女に手を出すヤツなんてサイテーだと思っているが、車で送ってもらわないと仕事に遅刻してしまう、ので仕方なしに助手席に座る彼女は終始無言で、細いタバコに火をつけては一口吸って消す、を繰り返し、到着するとサイフから1000円札を取り、立ち去る。
というシーン。
日照りと潮風、彼女のイライラとタバコの煙の描写がどうしようも無く暑い夏の日を思い出させる。
また、表紙もいい。佐々木マキ氏作。
これは作中作で、
鼠という友人から、クリスマスにプレゼントでくれたクリスマスカード。
一緒に彼の描いた小説も入っていて、誰も死なない、そして誰もセックスをしない内容の本だ。
HAPPY BIRTHDAY AND WHITE CHRISTMAS
のメッセージが添えられている。
また、おそらく下記のシーンがこの絵のモデルとなっている。
左手の指が四本しかない女の子に、僕は二度と会えなかった。
僕が冬に街に帰った時、彼女はレコード屋をやめ、アパートも引き払っていた。
そして人の洪水と時の流れの中に跡も残さずに消え去っていた。
僕は夏になって街に戻ると、いつも彼女と歩いた同じ道を歩き、倉庫の石段に腰を下ろして
1人で海を眺める。
泣きたいと思う時にはきまって涙が出てこない、そういうものだ。
左手にはタバコ。海を眺めている。
オンとオフ、出ては消えて行く、
それは誰にも止めることはできないし、理由もわからない、
そんなコトが大事なテーマとして描かれている。
風の歌を聴け
毎年夏になるとこの本を開き、タバコとビールを片手に読み耽る。
村上春樹といいつつ、風の歌を聴けについて述べてしまった。
また氏とタバコについては書いていきたい。
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