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映画館について

映画は映画館で観なければならない、と大学時代の先生が言った。
それは極端だと思うけれど、映画館で観るのと家で観るのとでは全然違うことも確かである。
前者の方が大画面で音響がいいと言いたいわけではない。
そうではなくて、映画館では鑑賞者は自由に振る舞うことを禁じられ、一時停止や巻き戻しができないことを言っている。
つまり映画館で映画を観ることは、一回性の「出来事」であり、やり直すことができないのである。
それはどこか人生に似ている。
我々は映画館という非日常的な空間で、他人の人生を覗き見る。
見逃しても聞き逃しても、物語はお構いなしに進んでいく。
だからこそ我々は集中して画面に見入る。
家ではそうはいかない。
途中でわからなくなれば巻き戻し、トイレに行きたくなれば一時停止する。
それは経験にはなっても、「体験」にはなりづらい。
映画は映画館で観る方が1.5倍面白い。

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