集落丸山2

空き家の流動化

私たちは、集落丸山から多くのことを学びました。

それは、実際に取り組んだ者だけが得ることができる「生きた知見」です。だから、このコラムに書いたからといって本当にその知見を手渡すことはできないし、これを読んだからといって本当に受け取ることはできません。

それでも、ヒントぐらいにはなって、貴方が実際に取り組めば、貴方にとって生きた知見となるでしょう。実践者の貴方のために、ヒントを書き留めておきたいと思います。

今回は、「空き家の流動化」について。一般的に、田舎では、空き家があっても簡単に売ったり貸したりしてくれません。空き家は流動化しない場合が多いのです。それでは、集落丸山では、なぜ空き家7戸のうち3戸が提供されたのでしょうか?

空き家を貸せない、売れない理由としてよく語られるのは、「仏壇が残っているから」「荷物が残っているから」「盆と正月には子どもが帰ってくるから」というものですが、それは本当の理由ではありません。断る時に言うセリフ、「言い訳」です。

本当の理由は、「見ず知らずの人に貸す(売る)とコミュニティに迷惑がかかるかもしれない(実際にそのような事例も散見されます)」「あの家はお金に困っているのではないかとウワサをされる(のはイヤ)」というところにあります。
空き家を貸してもらえない理由をひと言でいうと「世間体が悪い」からやめておこうというもので、都会人には想像できない考え方かと思います。

だから、「見ず知らずの人に貸すのではなく、村の未来のために使う」のである、「所有者がお金に困って処分するのでなく、村のために善意で提供する」のであるという事情が村人全てに共有されている状況をつくりだすことが、空き家の流動化に有効なのです。

私たちは集落丸山の事業化に向けたワークショップを通じて、この法則を学んだのでした。

ここに、もう少し詳しく書きましたので参考に。
https://colocal.jp/topics/lifestyle/renovation/20150520_48602.html

10年前、丸山地区は、12戸のうち7戸が空き家でした。この記事を書いたときには、空き家は4戸になっていました。それから3年後の現在、空き家は3戸になっています。この3戸もあと数年で活用される見込みで、これで全ての空き家が活用されることになります。

空き家の流動化のカギは「コミュニティベースの村づくり」にあります。

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