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玉ねぎの形をした宝物|あらゆる願いを叶える魔法の珠
1.はじめに
太古の昔から、人々にとって龍は特別な存在でした。
日本に限らず、アジアでは龍にまつわる伝説が数多く存在し、すさまじい霊力を持つことからも神様同様、龍神と呼ばれ崇められてきました。
架空の生き物ではありますが、鋭い眼光で大きな口を開き、天を駆け巡る姿は美しく、雄々しく魅了される方も多いのではないでしょうか。
さて、みなさんは龍の爪(指)は何本だと思いますか?
3本?4本?5本?
答えはどれも正解です。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951093/picture_pc_a0c7e1645f2b9ae582c33d6beb8f69d1.jpg?width=800)
一般的に龍の爪は3本から5本で表されています。
5本の爪を持つ龍は古代、皇帝だけが飾ることを許された龍でした。
4本の爪を持つ龍は貴族、または寺院仏閣、
そして、3本の爪を持つ龍だけは一般庶民が飾ることを許された龍だとされていました。
そして、注目していただきたいのが、龍の爪がガッチリ掴んでいる珠です。この珠は宝珠といいます。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951105/picture_pc_211fb1834c6da3975a13370947d3a60f.jpg?width=800)
文字を見て分かるように宝の珠であり、開運に導く不思議な珠なのです。
宝珠にはどのような意味が隠されているのでしょうか?
今回は、宇宙からの雫、宝珠の秘密についてご紹介します。
2.宝珠とは?
さて、龍がガッツリ掴んでいる珠は宝珠といいますが、
正式な名称は如意宝珠、又は摩尼宝珠といいます。
基本的に宝珠の形は、下部はボールのような球形をしており、上部は先が尖った円錐形をし、玉ねぎのような形をしています。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951143/picture_pc_7fb9f7e7daa6b8a0556813dda28fc03e.jpg?width=800)
宝珠は、すべての海水と魚を飲みこんでしまうといわれるインド神話に登場する怪魚マカラの体内や、龍神の脳から出たものという伝承があります。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951162/picture_pc_e41739567bbb6315bb8b96e3b8bc5e8e.jpg?width=800)
龍が手にしているものもよく見かけますが、虚空蔵菩薩や地蔵菩薩の手にも、この宝珠を見ることがあります。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951190/picture_pc_2be8941310c99779a88693c781394ebe.jpg?width=800)
また、五穀豊穣、商売繁盛で知られている七福神の1人でもある大黒天の立派なお腹や、足元にある米俵にも宝珠がしっかり描かれています。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951205/picture_pc_5df3a9fd9956046708eb3b2cfbe99ffc.jpg?width=800)
このことからもパワーの宿ったシンボルということがよく分かりますよね。
3.如意宝珠とは?
では、「如意宝珠」とはどのような意味が込められているのでしょうか?
如意宝珠の「如意」とは、「意のままに」という意味があります。
そして「宝珠」は災難を取り除き、心の濁水を清くするという意味があります。
つまり如意宝珠とは、どのような願いも叶え、思い通りになる珠という意味になります。
宝珠を入手すれば、多くの財宝を得ることができるようになり、毒にもおかされず、火にも焼かれないといわれている魔法のような珠なのです。
西遊記に登場する孫悟空は如意棒を持っていることはよく知られていますよね。
思うままに伸縮し、自在に操ることができる如意棒の如意もここからきているのですね。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951221/picture_pc_270debdd21ede7e7ce881cd5c13abb8c.jpg?width=800)
また、何事も意のままにするといわれている観音様で、如意輪観音も如意宝珠を手にしています。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951234/picture_pc_6765f802914d5229f25c56c276357b4f.jpg?width=800)
如意宝珠には病気を治す、災いを防ぐ、暗闇を照らすなどのさまざまな願望を叶える力があると経典にも記述され、貧しい人が如意宝珠を手にすれば、財産が思いのままに自分のものになると書かれています。
ですが、「宝珠を持っても心が清らかでなければ、仏の声を聞くことはできない」といった内容も経典の中に書いており、常に清らかな心でいることの大切さも説かれているのです。
4.神の図形
さて、如意宝珠は少しぽっちゃりした雫のような形をしていますよね。
この形は「神の図形」とも呼ばれ、宇宙から良いエネルギーを導くとされる形をしているのです。
如意宝珠の形は、燃え盛るような炎のような形にも見えますし、水が一滴、したたり落ちる雫のような形にも見えます。
火と水、これは相反する性質を持っています。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951256/picture_pc_05ef6f5aea5a38e40444a473f5ce58d9.jpg?width=800)
如意宝珠は火と水を統合した形であり、この世界を表す二元性、陰と陽を表現しているともいわれています。
火は「カ」であり、水は「ミ」であり、この二つが統合することによって「神」となります。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951262/picture_pc_8fb6a4a906bcdeb23b0de408de535682.jpg?width=800)
火と水は対立や矛盾するものですが、全てを統合し、一つにまとまった神の図形、つまり如意宝珠とは神の姿を具現化したものだとも考えられるのです。
また、如意宝珠の中には円・曲・線・角・点の5つを表しており、宇宙そのものを表しているともいわれているのです。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951266/picture_pc_0998c74d4d7f58b5c84a44cfa6e043c6.jpg?width=800)
5.擬宝珠
さて、身近にある如意宝珠をみなさんはご存知でしょうか?
あの玉ねぎのような形をどこかで見かけたことはありませんか?
橋の欄干、お寺の階段や手すり、お寺の屋根。
さまざまな寺院仏閣で目にするこの宝珠の飾りは「擬」に「宝珠」と書いて「ぎぼし」といいます。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951277/picture_pc_356e94339969d5b6f6b58311cdedf262.jpg?width=800)
「擬」には「まねる」「似せる」といった意味があることからも分かるように、擬宝珠は如意宝珠に似せて作られたものです。
少し紛らわしいのですが、五重塔や五輪塔などの仏塔の先端に飾られているものは、擬宝珠ではなく如意宝珠なのです。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951292/picture_pc_b1b1f7e2f96cabda27c292f6a5c70636.jpg?width=800)
擬宝珠はまねて作られたものではありますが、如意宝珠の力にあやかりたいという人々の思いから、いたるところで使われるようになったようです。
6.まとめ
いかがでしたか?あの玉ねぎのような形からは想像がつきにくいのですが、あらゆる願いを叶えてしまう不思議な宝の珠が如意宝珠なのです。
この神秘的な形は世界中いたるところで見ることができます。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79951308/picture_pc_cebfbd4ecbba87711f559f84347649d1.jpg?width=800)
独特なその形からは宇宙のエネルギーを自在に操り、願望を叶える力があることを古代の人々は知っていたのかもしれません。
神秘の図形は現代にも受け継がれ、人知れずその力を発揮しているのです。