見出し画像

『 愛は犬 』① #シロクマ文芸部

*想い出の犬


今回のシロクマ文芸部さんからのお題は
「愛は犬」でした。

愛はともかく犬のことでしたら、かつて愛犬・五頭との付き合いもあり
それぞれの物語もあるのですが、今回はそのこととは別のお話を書きたい
気分ですので(笑)、共に暮らしていた犬の話ではなく、たまたま出会った
犬のことを・・・しかも以前、記事にしていたお話を再掲載したいと思いました。なので、手を加えつつ、大半がコピペであることをお許しください。



『黒い魔犬』


「愛は犬」・・・その言葉で想い出すことがあります。

もうずいぶん昔(25才くらい)ですが、私は当時流行りだった
「テラスハウス」に住んでいて、二階の机上で仕事をしてました。

窓の外の景色は、広場を挟んで林があり、その手前に側溝があって、、
何やら異変に気付いたのです。

当時は犬を放し飼いにすることも罪にはならないゆる~い時代でしたが、
大型犬のカップルが広場をウロウロしている姿を・・・
私は自宅の仕事場の二階のベランダ越しに発見したのです☆

秋田犬二頭。一頭は薄い茶系の普通のサイズでしたが、
もう一頭の大きさは普通ではありませんでした。

大きい秋田犬のさらに二周りは大きい・・・
大型犬の野生の集団の中に居たなら、確実にボスであろう雰囲気を
漂わせる短毛の、黒っぽい斑(まだら)模様の筋肉質の体躯!!
(その後、規格外を含めて様々な秋田犬に遭遇しましたが、
その犬ほど強そうな犬に出会ったことがありません。大げさではなく、
闘犬・横綱土佐犬をも凌駕する無敵のオーラを発していました。)

「楽しそうだけど・・・怖すぎるな、、」とか思いながら眺めていたのですが、その巨大な秋田犬の姿がいきなり消えたのです?!

側溝の傍で普通サイズの秋田犬がウロウロしています・・・
どうやら巨大の方が側溝に落ちたようなのでした。

しばらくして、側溝に肘を付く感じで上ろうとする
黒い魔犬(以後、こう呼びますw)の姿が見えました。
でも頭部が微かに見える程度の、あまりに不自然な態勢です。
そのせいで力が入らず、それ以上、登ることも出来ないようでした。

黒い魔犬は一言の声を発することもなく、その姿勢のまま時間が
過ぎていきます・・・
魔犬の彼女(もう一頭の秋田犬w)は、心配そうに見守るばかり。。

平日のお昼時・・辺りは静かな住宅街で人の気配もありません。


私は仕事着のパジャマ・スタイルのまま、現場に向かいました。

側溝の傍には魔犬の彼女がいて、私に気付いて懇願するように
見つめています。

「わかった。今、助けるから!」

私は恐る恐る、黒い魔犬の傍に・・・!

私の足元で、側溝の縁に肘をかけ、縁に顎を乗せたまま
無言のままの黒い魔犬がそこにいました。
近くで見ると、もはや犬でさえない猛獣でした!

身動きもしないその魔犬の頭にそっと手を触れます・・・☆

触れただけでその強さを感じる、強靭な感触・・・?!
(巨大な土佐犬をイメージしてくださいw)

「今、助けるから、、噛むなよ?」

魔犬は何の反応もしません。 

助けを懇願さえしません。

無言のままに無表情で、その態勢のまま・・・!


私はその魔犬の両脇に手を添えて、力を込めて引き上げようとしました!!
その巨大な体躯はビクともしません! ならば、満身の力で!!!

「・・・?!!」


僅かに体が浮いた?と思った瞬間、彼は自らの力で肘に力を込めて上体を浮かし、匍匐前進で一瞬の間に私の脚の間を擦り抜けました!! 

脱出成功☆


彼は一瞬、私を見て「当然のことだ!」・・・と、何事も無かったかのような王者の風格で、そのまま立ち去って行きました。

彼を見守っていた優しい彼女は、感謝するように私の傍にきて、オデコを摺り寄せるようにしてから、彼を追います・・・!!

事件は解決しました!!(笑)


本来なら警察官数名でも対処できずに応援を呼ぶような状況に・・・
観客も居ないままに一人で立ち向かった自分も、どうかしていましたが、

あの、誇り高き巨大な黒い魔犬の姿もどうかしていました!

人知れず・みんなが無事でハッピーエンドを迎えた、とある昼下がりの
命懸けの出来事なのでした。(笑)



・・・以上が再掲載の部分でした。大変失礼いたしました!

で・・・今回、なぜこのお話を再び持ち出したかといいますと・・・
主役は【黒い魔犬】さんに付き添っていた秋田犬のことを言いたかった
からです。彼女の存在こそが今回のシロクマ文芸部さんのテーマである

『愛は犬』その言葉のイメージに重なったからなのでした。

最後の一言の為に今回の記事とさせていただきました。
お読みくださり、、ありがとうございました!!


【了】


*このお話は実話です。

(*トップ画像の写真は、愛犬だった紀州犬・太郎のものです)

*余談ですが、わりと最近、逃げ出した狼犬を捕獲しようと
警官たちが大挙して右往左往しているニュースが流れていましたが、、
その狼犬の姿は【黒い魔犬】さんと比べると、とても可愛い姿に
見えました♪(笑)😊


*こちらに参加させていただいてます。
「愛は犬」から始まる小説・詩歌・エッセイ
締切は9/10(日)21:00。

#シロクマ文芸部
#ショートショート

#シロクマ文芸部・参加作品


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?