見出し画像

『ひとりごと』りんご箱④ #シロクマ文芸部

*かわいい りんご



・・・りんご箱?

   ☆

すでに《死の星》となっている・・・
かつて『地球』と呼ばれていた星に訪れた。
調査の名目ではあるが、実質は興味本位の散歩である。

地表は《死》の名目通り殺伐として面白味もない。

堆積した瓦礫の表層の地下に、かつて都市部だったことが伺える
残留物を探知した。どうやら【倉庫】だった建築物の廃墟らしい・・・
現場に立ったが、これといって見るに足らないと思われた。

          ☆

これは・・・何かを入れておいた『箱』か? ・・・りんご箱?
私の銀河惑星雑知識もなかなかのものだと・・・つい、自画自賛してしまう。
で、入っていた《りんご》とは何だ?

時場探索装置で過去の映像を探ることにした。
操作は淀みなく目的時間帯に到達し、とある物体を映し出した☆

それは・・・箱を埋め尽くすように積み重ねられた【赤くて丸い物体】。
生物?いや、もしかして地球人が貯蔵していた食料か? 
もしや、これが・・・

りんご?!


物体を一つ取り上げ、さらに出生を探索してみる・・・


・・・声が聴こえてきた・・・?


わたしは まっかな りんごです~~~
お国は寒い 北の国~~♬

何だか心地よい響きだ・・・りんごの《歌》なのだろうか?


りんご畑の 晴れた日に
箱につめられ 汽車ポッポ~~~♬


連れ去られたのだろうか?
・・・先を聞くと、果物店のおじさんに顔をみがかれて
きれいな顔で店先に並べられたという・・・
りんごは・・・幸せだったのだろうか?


りんご りんご りんご
り~んご かわいい ひとりごと~~~♬


・・・何だか哀しそうなりんごの想いが伝わって来た。
店先に並べられた《りんご》は、やがて地球人に
食べられてしまうのだ・・・?!!

      ☆

私は想いを打ち消すように探索を終了し
すぐに《地球》を飛び立った!

わたしの耳にはいつまでも
あの哀しい《りんごのひとりごと》が
繰り返されていた・・・♬

私は、これからもきっと・・・
宇宙散歩の探索のたびに思い出すだろう。

宇宙の片隅の地球で生まれた
【まっかなりんご】のことを。


そして、保存してある
りんごが歌っていた・・・あの歌を
いつまでも 聴き続けるだろう。


わたしは まっかな りんごです~~~
お国は寒い 北の国~~♬



【りんご】


*このお話はフィクションです。
実際の人物、出来事等とは一切の関係がありません。


*こちらに参加させていただいてます。
「りんご箱」から始まる小説・詩歌・エッセイ
締切は10/15(日)21:00。 #シロクマ文芸部

#シロクマ文芸部・参加作品

#毎週ショートショートnote・出品作・他


↑*この作品、有料設定だったのですが、あまりにも読者の数が少なく、、
今回、note三周年を祝して無料設定に切り換えました。よろしかったら
見ていただけると幸せです。
かなりの長編なのでボリュームには自信があります☆(笑)

↓こちらも、やや長編で・・暇つぶしになると思います。

↓ 蒸気機関車も出てくる・・・お話です。(短編)

↓ こちらは昔の北海道のお話・・・(短編)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?