『告白水平線』#毎週ショートショートnote
*凪いだ海で
夕陽に染まった海は静かに凪いでいる。
ここまで生き延びた二人は海を見つめながら
僅かに残された時間に互いに言うべき言葉を探している。
ほどなく、巨大に盛り上がった海面は
その姿を一瞬で悪魔色に染めて
俺たちなどゴミの欠片のように薙いでいくだろう。
終末テーマの映画なら使い古された設定だ。
だがこれが現実なんだから笑ってしまう。
どこかの某国の狂った科学者が
【終末兵器】のスイッチを押したらしい。
《地震兵器》もその一つなんだろう。
迷惑な話だ。
すでに世界の大都市のあらかたは海の底。
標高の高い位置に逃げ延びた少数の生き残りだけが
おまけのように残された時間を享受しているだけ。
そしてこの山の頂上にいる俺と彼女だけがまるで
告白シ-ンを強要されるシチュエーションの中で
夕陽に包まれながら凪いだ海を見ている。
「愛してる・・が、いい?」
不意に彼女が言葉を発し
「好き・・・から始めない?」
と 俺が返す。
笑顔の彼女・・・
大丈夫。
時間ならまだまだ・・・!!
【凪】
(410字)
*この物語はフィクションであり、実在の人物・出来事・場所
名称・事件等とは一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『告白水平線』
裏お題が・・・『チクタク水兵さん』でした。
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