夢の終わりを知った

大好きだった君に対して許せないことが多くなって、ボロボロになった。“許せない”と“もう少し信じてみたい”を反復横飛びしながら追い続けた結果、沸いてくるのは負の感情だけになった。君を推してると疲れる。信じられない。信じたくない。傷つきたくない。もう君のために頑張れない。大好きで大好きで私を幸せにしてくれていた君は、気付いたら私を不幸にする存在に変わってた。もう全部諦めるべきなんだ。こんな奴さっさと嫌いになれたらいいのに、まだ好きでいたいと思ってしまう自分に嫌気がさした。

もう限界かもと思いながらライブに行った。蹴ってもよかったけど、ライブに行ったら気持ちが戻るかもしれないという期待があった。が、結論、少しも楽しくなかった。オタクを辞める決心ができた。目の前にいる君を見ても何も思わない。歌を聴いても少しも響かない。全く楽しくない、なんなら負の感情が沸いてきた。生まれて初めてライブに行ったことを後悔した。もう二度とライブに行くことはないと大好きだったはずの歌を聴きながらはっきりと思った。ライブに行けば全部解決すると思っていたから、今までだってそれがわかっていたから不安でもライブに足を運び続けたのに、最後の砦だったライブでこんな気持ちになるのならさすがの私も諦めがついた。ここまで来てしまったことがショックだった。ここまで来ないと離れられないほど私は君の呪縛でおかしくなってた。このままだと幸せになれない。幸せにしてくれないならこれ以上頑張る必要はない。切ない。夢の終わりを知った。

この夢を終わらせたくなくて数年間ずっと抗っていた。終わらせたほうが楽なのに、今後の自分のためにも終わらせたほうがいいのに、全部わかってるのにどうしても終わらせたくなかった。だって君が私の人生だから。君を好きじゃなくなったら生きる意味がなくなると思ったから。どうやって生きていけばいいかわからないから。腑に落ちないことはたくさんあったけど、まだ好きでいられると確認するためにライブに通い続けた。ライブに行けば全てどうでもよくなったから。君の歌が好き。この気持ちだけは失いたくなかったよ。

私がどんなにおしまいだと思っても君が存在する限りこの夢は終わらないと思っていた。何度も何度も終わらせようとしたけど、君はいつも当たり前みたいに私の前を歩いてて、夢の続きを見せてくれた。永遠なんてないのに永遠を信じられた。それが嬉しかった。いつか醒める夢だとしても構わなかったし、永遠じゃなくてもいいから少しでも長くこの夢を見ていたいと思っていた。でもこんなこと、夢が終わらないと思ってるから言えたんだなぁ。夢から醒めてしまうのはやっぱり寂しい。でも今の君のことを見ていたいとは思わないよ。今の君を永遠にしたいなんて思わない。そんな君の未来には興味ない。

私にとって、推しは現実逃避だった。理想と現実の狭間で君を追いかけていた時間は夢みたいに楽しくて幸せだった。自分のことを考えずに済んで楽だった。君以外はどうでもよかった。君がいれば何もいらなかった。絶対に良い推し方ではなかったけど、そうすることでようやく生きることができたからこれも正解だったと思うし、あの時間も気持ちも何一つ否定したくないなぁ。でもそろそろ私は現実を生きなければならないのだと思う。きっとそういうタイミングなんだと思う。推し、今まで生きる意味になってくれてありがとう。宝物みたいな思い出をありがとう。正直今は君のことが憎いし許せないけど、幸せをくれた君には感謝しているし幸せになってほしい。私の目は節穴なんかじゃなかったと証明してほしい。君を必死に追いかけた時間は無駄じゃなかったと思わせてほしい。君の未来が明るいものであれ。私は違う道で頑張るね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?