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感観考動 - KANKANKODO

感じ、観て、考え、動く。

なるべく自然に寄り添い暮らそうとする中で、大切にしようと心がけていることがあって、それを感観考動とよんでいる。

我が家にはセバ太という名前の犬がいて(通称セバ)、朝夕の散歩が日課である。

犬の散歩は、だいたい、同じような道を、同じような時間に通る。だから人も、同じような景色を、同じような時間に見ることになる。

セバとの散歩は大抵が山道なので、路肩の脇によく落ち葉が溜まり腐葉土化したりしているのだが、ある日、その腐葉土が、ところどころほじくり返されている。実はこれ、イノシシの食痕で、ミミズを探しているのだが、ということは昨晩ここをイノシシが掘り返したのだ。その周囲を念入りに観察すると、複数の足跡や木についた泥など、他の痕跡が見つかったりして、そのイノシシの大きさが分かったりする。

それから何日か経ってからの散歩中に、前の食痕から1キロ近く離れたところで、別の食痕と痕跡がみつかる。野生のけものは、個体ごとに個性がある。痕跡の違いから、おそらくは別のイノシシだろうと判断する。こうして観察を繰り返していると、我が家の周りに生息するイノシシたちのことを、大雑把だが把握することができる。

自然に胸襟を開くことで、受け入れてもらう感覚を得て(自然が拒むことはない)、自身も自然であるという感覚のもとで世界を観察し、そこでの発見を問いに昇華させ、行動につなげていく。それが感観考動の肝だと思う。

ちなみにセバは犬なので、感じることにおいては人間である私を遥かに凌駕して鋭敏だ。数十メートル先、時には数百メートル先の気配を感じ取り、耳をそばだてて、じっと山の中を観ている。そんなときのセバは自然そのもので、私も同じように自然になった気持ちでセバの視線の先を観るが、そこにはただ山が広がっているだけである。

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