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まのいいりょうしのできるまで

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自然から糧を得ながらまのいい暮らしを目指す「まのいいりょうし」に至るまでの極私的な記録
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#旅

まのいいりょうしのできるまで #2

のちに「風博士の風まかせツアー」と銘打つことになる音楽の旅は、きっちり三年間やった。なぜ三年間だったかというと、両親に、会社をやめてこれこれこういうことをしたいんだ、と伝えたら、父は「ふーん。まあ、いいんじゃない?」といい、母は「お父さんがそういうなら反対はしません。ただ期間は決めてね」というので、とりあえずは三週間くらいかなと思い、「えーっと、うーんと、じゃあ、さん・・・」と言いかけたら、母が僕の言を遮り、「そう、三年ね。まあそのくらいかもね」と言い出したからだった。僕は内

まのいいりょうしのできるまで #1

2008年3月2日、32歳の春、持ち物も住む家も捨てて、ギターと三日分の着替えとわずかな所持金だけ持って、僕は音楽の旅に出た。音楽で日銭を得ながら旅をする。続けられなくなったら、その時点で旅も音楽も、すっぱりやめるつもりだった。春とはいえまだ肌寒い日だったが、心は晴れやかでウキウキだった。 ・ そこからさかのぼること十数年、立命館大学の学生だった僕は、学友たちと京都でIT関連の開発会社を立ち上げた。集まったメンバーは全員文系で、「理系にはない発想でのアプリケーション開発」