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砂絵 #48_64

「順調ですか?その後」
「まあ、一段落っていうところかな」 
「そうですか」
「実は君の体験から、ある仕掛けを考えた。不謹慎かもしれないが」 
「どういうことです?」 
「遊園地、人気《ひとけ》がなくて寂しいって言ってただろう」
「ええ・・・」
「亡くした息子なんだ。息子はずっとあの遊園地に棲み続ける。子供のままの姿で永遠に」 
「思い出をつくる場所を彷徨う、ということ」
「うん」
「観覧車のように一回転すると、ただ人は降りていくだけ。通り過ぎた風景。その照り返しでしかない幻を追いかけ。未だ使われなかった人生は、そのままにしおいて」