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砂絵 #46_62

「椎雨が、あんたの所へ流れ着いたのも何かの因縁。須恵さんは察したのだ。母親としての勘で」
「ここへ来る意味は?」立ち上がる椎衣。
「どこへ?」
「母を探しに。ごちそうさまでした」椎衣は店を飛び出す。

⁂二十一 写真展
 数日後、木川田の作業場。砂絵が置いていった写真展の招待状。それを木川田は眺め、カレンダーに目を移す。
 写真展の会場。受付に寄り記帳する木川田。木川田は、ロビーを仕切るパーティションに掛けられた写真を見て回る。
 木川田は立ち止まる。花火を撮ったモノクロ写真の前で。撮影者に砂絵の名。その並びに砂絵の撮った組写真が続いている。
「あの、今日、正木さんは?」木川田は一回りして受付で尋ねる。