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砂絵 #24_40

「正木さんですか?私、美絵と再婚した高橋という者です」
「はあ」
「突然ですが、彼女、一年ほど前から患っておりまして」
「何の病で?」
「いや、何日も持たない。お嬢さん、砂絵さんでしたか。美絵が一度会いたいと。それで、連絡した次第です」
 病室に入る泰造と砂絵。痩せて衰えきった美絵。泰造と砂絵は畳み椅子を開き腰掛ける。眠ったまま目を開かない美絵。無表情に美絵の様子を見つめる砂絵。
 美絵が静かに息を引き取る。涙も見せず、砂絵は病室の窓をぼんやり見つめる。泰造は高橋に向かって頭を下げ、砂絵の肩を抱き立ち上がる。
「形見だそうだ」
 渡された袋にはカメラとビデオカセットが入っている。