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砂絵 #40_56

「そうか」
 食卓を見る砂絵。食卓には寿司の折り詰めが置かれている。
「どうしたの?ごちそうじゃない」
「大きな仕事が入ってな。前祝いさ」泰造は折り詰めを開け、割り箸を砂絵に渡す。
「どんな仕事なの?」
「来年、中国で科学博覧会があるんだ。そこに展示するオルゴールの技術指導を頼まれてな。急な話なんだ。来月から博覧会の終わるまでの一年契約になった」
「よかったじゃない。勿論、行くんでしょう?」
「ああ、返事はした。それで、おまえも一緒に行かないかと思って」
「何で、私が?」 
「いや、先方が家族同伴でという誘いなんだ。どうしても、ということじゃない。砂絵は、どこかへ自分の写真を撮りに行ってもいいし」