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4月19日

桜はすっかり葉桜に、裸木には見慣れぬ緑が芽吹き、大量のアメンボが池いっぱいに波紋を描いていた。冬はもう終わってしまったのだなと、うっとおしいくらい大きな生命の気配に感じられる。虫も動物も植物も姿を見せ始めるのは嬉しいが、静かな冬がすでに恋しい。

久しぶりに池の方へ散歩に行くと、人がコロナ以前の五倍はいて、犬が他の大型犬や幼児に絡まれることが多くヒヤヒヤした。屋外といえども充分な距離をとれないほど人がいたので、今後は池の手前まで行っても入らず、引き返す散歩をした方がいいかもしれない。散歩に行かない日に体力が有り余った犬が悪戯をしたり吠えたりするのでもかなり堪えるので、小さな子供が家にいる家は尚更だろう。公園で発散させないと子供も親も耐えられない。住宅街にある公園や池に人が集まるのは考えてみれば当然のことだ。それにしても、遠隔授業が始まったら犬をどうしようかと悩む。散歩に行かなかったら吠えるし、行っても外から犬の声が聞こえたら応えるし、ご飯をくれとまた吠える。一日中吠えている訳では無いのだが、一度吠え始めると長い。母は実家に連れて帰ろうかと言っているけれど、電車と新幹線で乗り継いで約四時間、このご時世だ、できる限り移動はして欲しくない。そもそも一人暮らしの家に現在母と犬がいる訳で、同じ部屋にいる時点でやりづらいったらないのだが、それは仕方がない。羞恥心を捨て、集中力を高めなければいけない。今も発声を伴う英語学習アプリをこそこそと母が買い物に出た時や風呂に入った時にやっている程勉強している姿を見られる、というか発声している所を見られるのが恥ずかしくてたまらないのだが。筋トレもそうだ。

昼ごはんはいつもと趣向を変えて、母がスパニッシュオムレツを作ってくれた。自分で作って食べるという行為に飽き飽きしていたので嬉しかった。以前もそう頻繁に外食に行っていた訳では無いが、いつでも行ける状態と、行けない上にお気に入りの店が閉店に追い込まれるかもしれないのに売上に貢献できないというのは気持ちの上で全然違う。犬の散歩中に見かける飲食店もほとんどが自粛中で、数軒テイクアウトだけ営業している店があった。運動も兼ねて犬の散歩の後に今度買いに行ってみようかなと思う。

小説は全然進んでいないが、内容を考えている時の脳の浮遊感がとても心地よい。自分の作り出した世界が羊水のように自分を包み込んでいる感覚だ。創作の楽しさを思い出せたことが本当に嬉しい。締切付きで小説を書くことを提案してくれた友人には感謝だ。なんとか締切には間に合わせる。

30-day song challenge 7日目は、
"A song to drive to"
小沢健二の「流れ星ビバップ」がすぐに頭に流れた。
この曲を聴くと、後部座席で窓を開けて、ビルからの光が反射して夜空のように見える大きな川を眺めていた夜を思い出す。夜のドライブは大抵、車内も闇に包まれる程の真っ暗な田舎から、街灯や建物の光が溢れる都会へと進むもので、特別な感じがして好きだった。

https://youtu.be/98BBA-rh2fQ

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