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【とある老人の人生】永遠のノスタルジア

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既に悟りをひらいてる(?)とある老人のショートショートより短い小説です。わかりにくい人のための解説もアリ。
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【とある老人の人生】春のある日

|| まえがき※ いつもの注意書き ・この「【とある老人の人生】永遠のノスタルジア」の 小説シリーズのメインテーマは 「老いの良さ」「老いの楽しみ方」です。 ・そこまで長くないので「あとがき」まで読んでいただけると 内容がよくわかります。 || 本編 今年も桜の花が咲いた。 もう春か…。そう短く思いながら 家の近くの公園の桜並木と言えるほどでもない桜並木を眺める。 昔は毎年この時期に、親友と二人で桜を見に行ったり、 友人たちと桜並木のある大きな公園で花見をしたものだ。

【とある老人の人生】冬のある日

|| まえがき※ いつもの注意書き ・この「【とある老人の人生】永遠のノスタルジア」の 小説シリーズのメインテーマは 「老いの良さ」「老いの楽しみ方」です。 ・そこまで長くないので「あとがき」まで読んでいただけると 内容がよくわかります。 || 本編 しんしんと雪が降り積もる。 子供の頃、大きくなったら着ると言って無理に両親に買ってもらった 今では丁度良いサイズの思い出の水色の雪の結晶模様のフリースを着て、 自室のこたつに座って雪見障子からその外の様子をゆったりと眺めている

【とある老人の人生】母がいたあの日

私が成人した頃の話だ。 母が帰宅する。 「ただいま」 「おかえり。お母さん、病院大丈夫だった?」 「別に大丈夫よ」 「そう。良かった」

【とある老人の人生】父がいたあの日

子供の頃の話。 父がふと部屋に来て問う。 「何してんだ?」 「映画観てる」 「面白いか?」 「うん。…何か用?」 「コーラ、飲むか?」 「うん」 父は優しかった。

【とある老人の人生】身近な人の死

 長く生きていれば、人の死に何度も巡り会う。 だが、子供の頃は悲しくはあるがそこまで死を深く捉えられない。 大人になっても日々の仕事で忙殺され、しっかりと死を悼む余裕は無い。 だが、年老いた今は言える。 ありがとう。あなた方のおかげで私の人生は幸せだったよ。