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挑戦状4 中くらいの戦略その1:保育園、高齢者通所介護事業所の感染予防


保育園と高齢者通所介護事業所(デイサービス)は、なくてはならない場所、閉鎖するわけにはいきません。しかし、最も三蜜になりやすい場所、感染した場合、最も重症化しやすい人の集まりです。

正しい感染予防対策を提案してくれる看護師がいても、それを受け入れてくれる園や事業所は、ほとんどありません。福祉施設での感染予防対策の遂行には高いハードルがあります。

私が保育園看護師として働いていた時の経験です。感染症が流行している時ですら、換気ひとつ受け入れてもらえませんでした。理由は、「寒いから子どもがかわいそう」「保護者から苦情が出る」医療職のエビデンスをもって説明しても平行線でした。学んだ事が異なっているから仕方がない事だったのか…ノロウィルスの嘔吐処置も含め、理解して貰い実行できるまで、7年位かかったかなぁ〜

2009年の新型インフルエンザ(豚由来H1N1)流行前に、保育園での『新型インフルエンザ職員行動マニュアル』を作成し、備蓄品も揃えていました。その事が功を奏して、感染者は出たものの流行は最小限に抑えることができました。流行直前に市内の保育園看護師の会合で各園にマニュアルを提供できていたことも幸いでした。マスク、消毒剤、手袋、ゴーグル等々の備蓄品を準備していましたが、この感染症に対応できるようローリングストックを続けてくれていたことを祈るばかりです。

前置きが長くなりました。

①水際対策:集団に入る前に感染者を発見して食い止める。しかし、この新型コロナウィルスは症状が明確でなく、潜伏期間も2日~2週間という仮説の状況。いつから感染するのかも皆無の状況です。そんなウィルスを保育園とデイサービスで水際でくい止めることは厳しいのですが、あきらめずに最大限の企業努力を行っていただきたいとお願いします。

<保育園の場合>                          ◎保護者教育:お子様たちの健康観察に必要なチェックポイント、免疫力を上げる生活習慣などを細やかに伝え続けてください。保健だより、見やすい書きやすいチェック表。子どもの命を守るためです。保護者の方々には必ず伝わるはずです。理解してもらえない場合はは伝え方を個別んに変えてみましょう。その細やかな対応が大切です。伝わった時の喜びは、専門職としてこの上もなく深い喜び・自信になります。               ◎登園時の健康チェック:検温はもちろんのこと、子どもの些細な変化もベテラン保育士ならわかるはず、看護師の常駐があれば医学的エビデンスの基に観察チェック項目等もクラス別に作成してくれます。         ◎心配な場合の隔離:完全に個室になる保健室があるのが理想ですが、法律上、問題とならない事を理由に事務室の一角を保健室にしている保育園がほとんどです。免疫力の低い0歳児からを預かる保育園なのに情けない話です。新型コロナウィルスを馬鹿にしてはいけません。今からでも遅くはありません。隔離できる部屋を保健室として確保してください。今後、まだ、新型コロナウィルスを超えるウィルスが発生する可能性もありますよ。

<デイサービスの場合>                       ◎本人・家族教育:高齢者の場合、本人も家族も高齢ですが、どうか諦めないでください。伝わる方法はあるはずです。レクリエーションの一環で、お便りで、どうか自助力を上げる関わりをお願いします。         ◎送迎バスに乗る前のチェック:自宅での検温ももちろんですが、車に乗る前の検温と専門職の直感で、いつもと様子が違うことに気づくことが大切です。とはいえ、一人暮らしだったり、日中独居だったり、中には高齢者虐待の可能性がある家庭もありますよね。不確かな症状だと利用をお断りするわけにはいきません。だからこそ、この後で話していく対策が重要になってきます。

マスク着用:これが一番ハードルが高そうです。小さな子どもたちには、厳しいですね。ですから、保育の中で感染予防として、どのように関わっていくか保育士の力量にかかってきます。幼児には、保健教育などで楽しくマスクが着用できるよう指導していきます。高齢者にも同じです。特に送迎車の中は、まさに三密です。マスクをしていない人がいる事で不安になる高齢者も多くいます。しかし、どんなにお願いしても「無理強いできないし、マスク不足なので無理です。心配な人が利用を諦めてもうしかないですね」と言われてしまいました。せめて、ハンカチでできる簡単なマスク(ゴムはストッキングを切って使えます)だけでもレクリエーションでみんなに作ってもらって車中は最低限、全員マスク装着にして欲しい…それを明日、私が担当している方が使っているデイサービスにお願いに行きます。感染は怖いけれど利用しないとその人の人生に関わってくることもあるのです。それ位に大切な重要な仕事をされている事をどうか誇りに思っていただきたいと思います。

③登園時、デイサービスに到着時に全員の手洗い実施:それぞれが自宅からやってきます。家族が無症状のウィルス保持者(サイレントキャンサー)かもしれません。保育園での経験から、登園時の親子手洗い、保護者お迎え時の手洗いを徹底しただけで、感染症の発生率が激減しました。

④換気:1~2時間毎に、どうか必ず換気を10分ほど行ってください。風が抜ける作りになっている建物ならいいのですが、窓が片側にしかない場合は、倍の20分は開けてください。温かくなって来たら開けっ放しでもいいかもしれません。寒いなら上着を着てもらっても実施しましょう。命には代えられません。

⑤湿度維持:加湿器、バスタオルなどを利用して、こまめに温湿度チェックを行ってください。加湿器を利用する場合は加湿器内の清潔は必須です。

⑥消毒:施設へ入る時の手洗いがきちんとなされていれば、食事の前と人が変わる時だけのテーブルや器具の消毒でいいのですが、そうでなければ、とにかく消毒し続けなければ心配ですね。

⑦食事の時は向かえ合わせは避けて”黙々タイム”で:保育園で同じテーブルの子どもたちにインフルエンザが感染した時は衝撃的でした。喋りながら食べる、子どもや高齢者は唾液が飛びやすい、最も危険です。

⑧距離を開けて座る:今や社会的距離は当たり前の事ですが、一番できていないのがデイサービスではないでしょうか。法律で定められている平米数では、社会的距離は開けませんよね。そんな中でも何か工夫があるはずです。いつもと同じメニューではなく何かがやれるはず、あきらめないでください。Never give up!

* 感染者が出ずに感染拡大が起きていないのは、運がいいだけだと思って、お願いですから、感染予防対策をあきらめずに考えてください。

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