日本と世界の流行りの音楽の違いについて


世の中にはやはり「流行りの音楽」があって、今は「ダンスミュージック」と呼ばれるものが主流ですよね。ラップが入っている曲が多いように思います。

そういう「流行りの音楽」から考えると、J-POPはやっぱり違う気がします。日本語は韻こそ万葉集の時代から踏んでいたかもしれないけれども、ラップ的なリズムに則ったライムの話ではなくて掛詞、という形でした。まだ日本の歴史の中ではラップも若いものなのかな、と思います。
それこそ、最近になってcreepy nutsさんとか、アメトークでの「ラップ芸人」であるとか、「ヒプノシスマイク」という作品のおかげでとても脚光を浴びている状態だと思うんですよね。


現在の日本のチャート

今日現在のJ-POP TOP50などを見ると、「流行りの音」や「ヒップホップ」を使われた曲というのはやはり少なく思います。

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Spotifyの「日本TOP50」本日のプレイリストを見ています。
https://open.spotify.com/user/spotifycharts/playlist/37i9dQZEVXbKXQ4mDTEBXq?si=9CC0Vd6LQiyxWT3alG8_YQ

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レコチョクはこちら。そんなに大きく変わらないですね。
https://recochoku.jp/genreranking/j-pop/daily/

この日でのSpotify内での「新しいエントリー(つまり新曲ですね)」はゼロでした。J-POP界は「良い」と思われる曲が数ヶ月間に渡り長く聞かれる傾向にあるのも特徴な気がします。

Spotifyでの日本Top10は、全員agehaspringsが関わった事のあるアーティストです。agehaspringsとは玉井健二さんを代表とした、日本のほとんどの売れている音楽を手がけている音楽制作・プロデューサー集団が所属しているマネージメント会社です。売れている音楽はほとんど彼等が噛んでいると考えて良いと思います。

私自身、agehaspringsが大好きで、色々な活動を目にさせていただいています。彼らはやはり「売れる音楽」に特化しているのだと思います。なんとも「どこが」とは私自身説明できませんが、初めて聞いた曲でもagehaspringsが関わっていると「ああ、これはagehasprings絡みだな」と思うのです。
特に現在一番売れっ子である蔦谷好位置さんのストリングスやブラスの使い方は間髪入れずにほとんどすぐ分かってしまう。それくらい「耳馴染みが良」く、「万人に好かれる」音なのではないのか、と思います。

実際、私の好きなバンドが蔦谷好位置さんにアレンジをされた曲は明らかに今までよりもパッとしたメロディ、編曲、歌い方、センス、で、そのバンドの中でも特別に好きな曲となりました。その曲は目に見えるように売れたし、それを境にファンも増えているのは目に見えてわかりました。話は逸れますが、彼らはその後数回はうまくいったのですが、今は大手事務所をやめてそっとバンド活動を続けています。それに関しては、「売れる曲が果たして本当に良いのか」「自分たちにとって音楽とはなんなのか」という話にもつながるので、彼等については何もいうことはありません、私は今でも彼等のことが大好きだし、ライブで楽しくさせていただいてます。それよりもやはり、あの曲が出てバンドが目に見えるように売れた時に「蔦谷好位置の売れる音楽のノウハウ」はすごいな、と身をもって感じました。

蔦谷好位置含める多くのagehaspringsのアーティストは、とんでもない量の曲を聴いたり研究していると思います。ヘッドフォンを通して聴いたときに心地よい音がたくさん溢れています。主にパーカッション・ビートの音が最近の「流行りの音」なのだと思います。
そういう意味では、J-POPの音色は、世界で流行っているパーカッション音とほぼ同じ音が使われているように思います。それなのに、何が違うのでしょうか。


現在の世界のチャート

ここで、世界のチャートも見てみます。

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SpotifyグローバルTOP50です。
https://open.spotify.com/user/spotifycharts/playlist/37i9dQZEVXbMDoHDwVN2tF?si=S0d4SIePS3y197ledLpeXQ
※レコチョクは日本内でのランキングとなってしまうので外します。

この日の新しいエントリーはTOP50曲中8曲あります。ちなみにTOP10の中でも2曲。ドレイクやセレーナゴメスはやっぱり強いなという印象・・。

聴いてみると分かるのですがやはりほとんどがラップ、電子音でできています。意味が分からなくても歌詞の耳障りが良く聴こえ、とても魅力的です。日本のバンドが海外に行った時に「歌詞が分からないのはどうなのか」という問題が起こると思うのですが、ほとんどのアーティストがインタビューで「言語は関係なかった」という受け答えをしているのを読みました。海の向こうの皆さんは歌詞も大事な要素の一つではあるのですが、それよりも「音」の「耳障り」を楽しんでいるのではないかな、と思います。

こういう海外のチャートを聴くと思う大きな違いは、「日本の曲は音の総数が多い」ということです。ちなみに、国別チャートを見てみたところ、海を越えた韓国もやはりK-POPで皆さんが聴いているようにグローバルチャートに近い感じの音楽が多い。
一つ面白かったのは、台湾チャートはグローバルチャートと、日本のようなタイプの入り混じったランキングに反して、香港チャートはほとんどがグローバルチャートに近いものでした。何か関係がありそう。またの機会に考えてみようと思います。それでも、台湾チャートに入っている曲(所謂C-POPですかね)とJ-POPを聴き比べても、それにしてもJ-POPは音が多いなという印象です。
ここでの「音が多い」は、「ビートが早い」であったり、「たくさんの音が使われている」という事ではありません。(たくさんの音が使われている、も当てはまってくる部分はありますが)、「同じ瞬間に鳴っている音の数」が明らかに多いのです。


違いについて詳しく考えてみる

例えば、グローバルチャート1位の「Dance Monkey / トーンズ・アンド・アイ」と、日本チャート1位の「Pretender / Official髭男dism」の最終サビを聴き比べてみましょう。

Dance Monkeyは約03:08からが一番盛り上がる瞬間です。
パーカッションを2つの音色が4つ打ち、同じリズムでベース(細かくはアーフタクトで気持ちいいうねりを作ってます)と、ピアノ・シンセ2種類(オクターブかな)、あとはメインボーカルに加えて同じメロディを歌うコーラスと、対旋律を奏でるコーラス。
楽器の量的に考えるとザッと8種類くらいでしょうか。
主に音楽に必要な「リズム」「ベース」「伴奏」「メロディ」を最低限使った中でのプラスアルファの盛り上がりという印象があります。

次はPretenderを聴いてみましょう。
大サビは4:08前後からと考えてみましょう。
パーカッションのリズムがDance Monkeyよりも細かく16分で刻まれています。また、パーカスの中でも使っている音色が上記は2つに比べて、ドラムを使用しているので5つはあると考えて良いと思います。ベースは8分音符刻みなので、これもDance Monkeyよりは細かいですね。ちなみにDance Monkeyよりもテンポ自体は同じくらいです。
同じく8分で刻まれるのはピアノとギター。コードの頭ではシンセがなってます。持続力はないですがキラリとした音色なのできらびやかさが出ています。また、同じシンセかわかりませんが、効果的なシンセ音が持続して後に引くものがなっています。(4:48で聴きやすいと思います)
そしてメインボーカルと、コーラスは同じ音ではなくハーモナイズされています。恐らく4音くらいは重なっているのではないかな。
ちなみに4:30~はパーカスと同じ16分刻みで電子音のパーカス補助が入っています。シンセかな?と思うくらい可愛い音です。

音の総数は、パーカスを1と考えると8種類でした。ただ同時になっていつ音として考えるとパーカスは3つくらいは同時になる瞬間があるので11種類でしょうか。コーラスも1として計算していますが、ハーモナイズされている4とすると、もっと増えます。

こうやって考えると、J-POPは楽器の数こそ同じくらいかもしれませんが、「刻みがとても細かい」ことと、「ハーモニーが分厚い」事が、世界チャートの音楽よりも「きらびやかに聞こえる理由」であり、違うところなのではないかと思います。


まとめ

グローバルチャートの特徴
・音数が少なく、シンプルなものが多い
・ラップが入っているものが多い
・所謂ダンスミュージックと言われるものが多い
 (パーカス・ベースが基本的に4ビートである)
・歌詞の耳障りが良いものが多い
・ハーモニーはいざというタイミングで使われている
 通常はボーカル一本なものが多い

日本のチャートの特徴
・きらびやかで音数が多いものが多い
・メロディをとても大切にしている印象、歌いたくなるメロディが多い
・バンドベースのものが多い
 (※日本はバンド大国です)
・歌詞は耳障りよりも意味を大事している印象
・ハーモニーを大事にしている
 きらびやかになり、みんなで歌っている感が出る

今日はさらっと考えてみただけなのですが、それだけでもやはり「日本はみんなで音楽を作り上げている」印象があり、世界的チャートに乗るアーティストは「一人で作品を作り上げているアーティスト」という印象があるなと思いました。
日本国内でアーティストが少なく、バンドが多い理由、逆に世界的アーティストにはアーティストが多く、バンドが比較的少ない理由は国民性の関係が多くにあるように思いました。
どちらが良い、どちらが悪い、とかという話ではなく、日本という今自分が住んでいる自国が世界のチャートと違う「独特の音楽文化」を持っていることに私は誇りを持っています。
皆様も興味があれば世界チャートと日本チャートを聴き比べてみてはいかがでしょうか!


まだまだ深掘りすれば色々見えてきそうですが、最近K-POP(アイドル)をよく聞くようになってから「どうしてJ-POP(アイドル)とこんなにも楽曲性が違うのだろう」と思ったことから、今日はこのようなことについて考えてみました。ザッと考えている知識なので間違えている点も多くはあるとは思いますが目を瞑っていただければ!よろしくお願いします。

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