義父の不思議な話。

ちょっと思い出したので、義父が亡くなった時の不思議な話。

の前に、義父が気の毒な話も一つ。
火葬場でお骨になって、お骨拾うじゃないですか。
私、頭蓋の部分を箸で拾った際、思いのほか重く手ですね、かちゃんって落としました。
あの時、義父は頭が痛かったことだろう。ごめんね。

そしてお骨を木箱に入れて母と弟の家に。
しばらくお茶飲んでのんびりして、弟は自室に戻って。

くつろいでいたんですが、母が夕飯の買い物に行かないと何にもないといったので買い物に出かけることに。

そして買い物を終えて家に帰り、「ただいまー」と母と二人でいうと「おかえり」と声が聞こえたのて、ちょっと違和感。
弟、声変わりしたとはいえ声おっさん臭くね?
でもまあ、あいさつするのはいいことだ。

でもなんか声に違和感。
すべてに満ち足りたような、ものすごく幸福そうな声だった。
ので母に尋ねた。

「あなたの息子、ずいぶん優しい声でお帰り言ってくれるんだね。びっくりしたんだけど」
すると、母が「今出かけるよ、あんたの弟」という。

私が「出かけてないよー、お帰りって今言ったじゃん」というと、母が叫んだ。
「いうわけないでしょ! いないんだから! さっき出かけてくるって言ってたし、いつもの靴なかったし!」

納得がいかない私、二階の弟の部屋へ行く。
ノックをしても返事なし。
開けるよと、ひと声かけて、部屋を開けると誰もいない。
二階にも一階にも弟はいない。

不思議に思い、母に尋ねる。
「ほんとに弟いないんだけど、なんで?」
「だからいないっていったしょー! 怖いこと言うんでない!」
母は、テレビを大音量でつけだした。

私はしばらく考えて「あの声、弟のお父さんの声ってこと?」と尋ねると、母が「それしかないでしょ! おっかない!!」とやはり叫んでいる。

「弟のお父さんの声なら怖くないのでは?」と尋ねるも「死んだ人の声が聞こえてる時点で怖いべよ! その話、弟に言うんでないよ、あんたの弟も相当ビビりだからね!!」と言われて、弟にこの話はしていない。

義父の声だというなら、おっさん臭さにも納得する。
だっておっさんだもの。
私が不思議だったのは、私は人生に満足しきってますっていう、幸福そのものな声音にとても驚いていただけで。

義父ってあんな声出せるんだっていう。
私は義父と仲悪かったので、本当にすんごいびっくりしたね。

母の怖がりぶりにもびっくりしたけど。

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