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告白

昔書いたオリジナルのショートショートです。
pixivに文庫メーカーで作成したものを掲載しております。

告白

 女は、いつも自分の働くショップの前を通る男に恋していた。一度も声をかけたことのない、朝と夕方、目の前を通るだけの男。
 男はまるで気づかずに通り過ぎていく。もしかしたら女がそこにいることすら、気づいていないかも知れない。
 女の働くショップは一見華やかだが、女にとっては過酷だった。客達には夢とブランドを売るが、女には何も得るものがなかった。そのくせ、安定している訳ではない。流行の先端を行くために、店内は入れ替わりが激しい。先日も同僚が配置換えになった。
 もうすぐ季節は冬から春へ移り変わる。その頃自分はここにいるだろうか?
 そしてついに、女も配置換えを命じられた。自分のいた場所に若い子が居座ることになる。でもそれは覚悟していたことだ。仕方がない。だが、ただひとつ、彼と会えなくなるのが唯一の心残りだった。
 ここを去ったら、もう二度と会えなくなる。せめて一度、彼と接点を持ちたい。女は決心した。
 次の日、いつも通り男は現れた。
 今だ!
 女は思いっきり飛び出した。

 ガッシャーン!
 大きな音を立てて、ウィンドゥのガラスが割れた。男の上には、ガラスの破片とマネキンが、男を抱きしめるように、覆いかぶさっていた。

        終わり

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