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Keychron Q9 Plus購入1カ月後レポート

Keychron初の40%キーボード、Q9 Plusを購入して1カ月間、自宅でメインキーボードとして使い倒しての感想をお伝えします。

購入を検討している方の参考になれば幸いです。
最初に言っておくと、私は買って大満足です。しかし人を選ぶキーボードであるのは間違いない
おそらく以下のような条件でこそ、このキーボードは真価を発揮します。

  1. 持ち運びせずオフィスや書斎でキーボードの専有面積を最小限にしたい(註1)。あるいは必要に応じてデスク上で移動させたい

  2. タッチタイピングができない、あるいは左右の指が出張するので分割キーボードを使えない

  3. デザインにこだわりたい

  4. 打鍵感や打鍵音にこだわりたい

  5. 横幅は気にしない

……ニッチの極みって感じですね。

(註1)4/24追記:ベゼルレスの65%キーボードの方が縦幅が小さいようです。やはり後述のとおり、「横長である」というのがこの製品の最大の特徴か。


配列

Q9 Plusの配列は、以下の三つが特徴だと言えるでしょう。

  • 分割スペースバー

  • R1左側のキー数

  • 横長

それぞれについて見ていきます。

分割スペースバー

まず分割スペースバーについて。無印Q9との相違点です。

キーマップ変更の選択肢が増えるので確かに嬉しいポイントではあるのですが、自分にとっては使いこなすのが難しい仕様でした。
左右どちらかの単押し時にスペース以外の挙動を割り当てるとすると、誤打した時のリスクが非常に大きい。
普通のキーボードの感覚で雑にスペースを押下すると、左右を間違えたり、あるいは同時に押したりしてしまいます。分割キーボードであればこういうことは起きないでしょう。

せいぜい長押し時の挙動を左右のスペースで分けるくらいにしか使えず、それならば分割でなくても大差ないかなという感想です。
まあ無駄に長い普通の配列のスペースバーより便利なのは間違いないし、訓練すれば便利に使えるようになると思いますが、他のキーボードが触れなくなりそうで怖いですね。

R1左側のキー数

次にR1、すなわち最下段のキー数について。無印Q9を含め、普通のUS配列では3キーであるところ、4キーあります(Fnキーが入っている)。

個人的にはこれが非常に大きかったです。キー数が多いことというよりは、左Altがホームポジションの近くにあるのが便利でした。

前回の記事で書いた通り、私は左右AltでIMEオンとオフを指定しています。Q9 Plusでもキーマップ変更によってスペースバー左右に「長押しでAlt、単押しで無変換/変換」のキーを配置しています(MacではKarabiner-Elementsを使うので単純に⌘キー)。
同様の使い方をしている人にとっては極めて大きなメリットになることと思います。

横長

前項と絡む点ですが、KeychronはQ9シリーズを40%キーボードと呼んでいるものの、一般的な40%キーボードと比べて、明らかに横に長いです。
例としてAKKO ACR TOP 40と比較してみると、だいたい7キーくらい多い。40%というより、65%から数字キーといくつかのキーを除いた、と表現する方が正確でしょう。

AKKO公式HPより引用。[, ], /など文字キーも削除されている

というか、ケースにベゼルがあるので何なら65%キーボードより長いです。

下はNiZ Plum Atom68(キーキャップ交換済み)。ちゃんと右端揃えて撮影してます

これがQ9の最大の個性だと思います。

そもそも人がなぜ40%キーボードを使うかを考えてみると、手首の移動を最小限にして、指を伸ばすだけで全てのキーを押せる状態を求めているからだと思われます。
Q9は確かに横長ですが、この程度であれば、少なくとも自分は全てのキーに指が届きます。つまり、厳密に40%のサイズでなくても、40%に求められるスペックを満たせているのです。縦幅が重要なわけです。

独立した矢印キーがあるのはシンプルに便利です。また、右Ctrlや右Optを配置する余裕があるのも嬉しいポイントです。
よりシビアに専有面積削減を図る人にとっては横幅も気になるポイントでしょうが、私の作業環境では全く問題ありませんでした。

キーマップ変更

キーマップに関しては人それぞれだと思いますが、自分はバックスペースと基本的な約物をデフォルトレイヤーで打てるようにしました。括弧はマクロで開閉を同時に打つことでキー数を節約しています。

赤枠が変更点。M0が鍵括弧、M1がパーレンのマクロです

数字キーとファンクションキーはレイヤー4に配置。2週間もすれば慣れます。

まだまだ調整の余地ありですが

F4やF5、F11のような頻繫に用いるファンクションキーを下段に設定すると、普通のサイズのキーボードよりも打ちやすくていいですね。

会員登録等で住所や電話番号など数字を連続して入力したい場面用に、トグルでレイヤー4と切り替えるキー(TG(4))も設けてあります。
これを誤打した時に面倒なので、レイヤーインジケータ機能が欲しいのですが、VIAやQMK Configuratorでは不可能
再現する方法はないのかKeychronに問い合わせたところ、「今のところat present」無理だという回答でした。
ファームウェアアップデートで実装されることを期待しておきます。

デザイン

言うまでもなく最高です。
先述の通り、Q9シリーズは横長です。「板というより棒……?」と思わせる独特な存在感を放ちます。
RGBライティングも、不要だと思っていましたがあると結構テンション上がるものですね。

透過キーキャップではありませんが結構明るい

ただし不満点もあります。替えのキーキャップが少なすぎます。
製品に同梱されているのがWindows用のキーだけなのはまだ許せるとして、Keychronが販売しているOSAプロファイルのキーキャップセットに無刻印キーが存在しないのはちょっとどうなのと思います。
40%キーボードはキーマップ変更が前提なのだから、それを売る以上は対応したアクセサリーも商品展開してほしいところです。

打鍵感・打鍵音

Qシリーズの特徴であるダブルガスケットマウントが搭載されています。ケースの上部パーツと下部パーツの間にもクッションが入っているのがダブルガスケットです。
ビックカメラ池袋本店の店頭でQ1とQ3を触った時にあまりに打鍵感と打鍵音が良く、いずれはQシリーズを……と思って購入したのがこのQ9 Plusでしたが、期待通りのクオリティでした。
文字キーはGateronの白軸、修飾キー類はKeychronのバナナ軸で使っています。

打鍵音に関してはキーキャップの種類によっても変わってきます。デフォルトのOSAプロファイルが一番上品に感じますね。少し低めの音になります。手触りも良好です。
埋め込み式のスタビライザーのおかげで、スペースバーやEnterを押してもカチャカチャせず、値段相応の品質だと言えるでしょう。
まあ私は定価の6割くらいで中古を購入したんですが。

携帯性

1kg以上あるので携帯性皆無……というわけではないのが絶妙なところです。
外に持ち運ぶ気にはならない重量ですが、デスク上でなら気軽に置き場を替えられます。
私は作業ごとにデスク上のガジェットの配置を頻繫に替えるので、このサイズと重量は、家で使うのにはベストなバランスでした。使わないときはモニター台上の狭いスペースに置いておくこともできます。

このスタイルで作業することも多いので助かる

まとめ

65%や60%を問題なく使いこなせている人であれば、このQ9 Plusも余裕でしょう。
使うにあたってロマンと実用性、どちらが大きいかと問われたら、自分の場合は迷いなく後者だと答えます。普通に便利なんですよ。ノブもあるし。

こういうのを触ってしまうと、普通のキーボードは味気なく感じてあまり欲しくならないという浪費抑制効果もあります。いやそもそもそんな何台も買うもんじゃないんですけど。

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