2. vSphere による仮想化とSoftware-Defined Data Centerの概要

VMware NSXにはVMware vSphere による仮想環境の構築が前提なのは前回述べた通り。物理サーバにOSの代わりにVMware ESXiをインストールすることから始まる。

ESXi はベアメタルハイパーバイザーで、基盤となる物理ハードウェアに直接アクセスしながら、リソース管理の役割を担う。オペレーティング システムのオーバーヘッドが少ないのがVMware社のウリだそうだ。Preboot Execution Environment (PXE)や Trivial File Transfer Protocol (TFTP)といった一般的 なネットワークブートのプロトコルで、ホスト側を遠隔からリブートすることも可能だ。

それらESXiホストをコントロールするのがvCenter Serverだ。1つのvCenter Serverシステムで、ESXiホストを1台から1,000台まで管理できる。また、vCenter Serverの1個のインスタンスで、パワーオン状態の仮想マシンを最大で 10,000台管理することもできる。

vCenter Serverシステムには、次の機能が含まれる。

(1) vSphere vMotion
実行中の仮想マシンを停止することなく別のESXiホストに移行する。
(2) vSphere DRS
ESXiホスト間でvSphere vMotionを利用して、マシンのロードバランシングを行う。
(3) vSphere DPM
環境内で未使用の ESXi ホストをパワーオフする。
(4) vSphere Storage vMotion
実行中の仮想マシンのハードディスクを別のストレージデバイスに移行する。(5) vSphere Storage DRS
ストレージに関するロードバランシングを自動化する。
(6) vSphere Data Protection
仮想マシンをバックアップする。
(7) vSphere HA
可用性管理の一環として、ハードウェアの問題が発生した場合に仮想マシンを別のホストで再起動する。
(8) vSphere FT
仮想マシンの継続的な可用性を実現する。
(9) vSphere Replication
ディザスタリカバリのために仮想マシンを別のサイトにコピーする。

(7)と(8)の違いについては、VMwareの新卒SEさんが作成した以下のページがわかりやすいです。
http://blogs.vmware.com/jp-cim/2014/09/vsphere_kiso03.html

ここで、VMware NSXの環境に必須な機能である分散仮想スイッチについておさえる。ESXiホスト内に存在する仮想ネットワーク機器に関して、単一のホスト上に構成される標準スイッチ(vSS)と、複数のESXiホストにまたがって構成される分散スイッチ(vDS)がある。

定義されたネットワークリソースにサービスレベルの設定をすることで、優先して帯域を利用できるトラフィックや仮想マシンを指定することができる。

vDSを使用することにより、vSSにはない以下のことが実現可能である。
・複数のホストで使用するネットワークを効率的に管理する。
・広帯域ネットワークに各種トラフィックを集約して使用する。
・VXLAN を使用しネットワーク仮想化を実装する。

VXLAN(Virtual eXtensible Local Area Network)とは、L3ネットワーク上に論理的なL2ネットワークを構築するトンネリングプロトコルのことで、2014年8月にIETF RFC7348として公開されている。具体的には、VXLAN IDを使用してイーサネットフレームをカプセル化することでトンネリングを実現している。重要なのは、VMware NSXはVXLAN の機能をベースに実現されるということだ。

"Software-Defined Data Center"については以下のリンクを読んでもらうとして…
http://www.vmware.com/jp/solutions/software-defined-datacenter/in-depth.html

重要なのは、3種類のライセンスが存在することである。
https://kb.vmware.com/selfservice/microsites/search.do?language=en_US&cmd=displayKC&externalId=2145679

NSX Standard Edition、NSX Advanced Edition、NSX Enterprise Editionとあるので、各機能の有無を要チェック。

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