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レンズの話をしよう ⑤ 〜【縦横無尽】CONTAX Vario-Sonnar 80-200mm F4〜


 ズームレンズは単焦点に比して画質が良くない。

 ……と、言われることが多いが実際のところはどうだろうか。個人的にはオールドカメラやレンズが値上がり傾向の中、投げ売られている価格から想像する程悪いものじゃない、と思っている。

 そりゃあ、単焦点と比較すれば設計の都合上画質を妥協しなければならない部分もあるだろうが、特に望遠レンズのように一つ一つが重たく、割と焦点距離で画角に差異が出る場合はズームレンズというのはそう馬鹿にしたもんじゃないだろう、と思うのだ。

 個人的にはズームレンズの問題点は単純な画質などではなく、画角を足で稼がなくなるという部分だと考えている。


 さて、ズームレンズの評価をする時に枕言葉のように使われる単語が、
【単焦点並みによく映る】というもの。
 今回取り上げるのもこのキャッチフレーズで知られる名レンズ。
 CONTAX Vario-Sonnar 80-200mm F4 だ。


 たたかえ!バリオゾナー

 CONTAXのレンズは高い。
 特に広角〜標準域は現行レンズと大差ないくらいに値上がっている。
 一方、中望遠以上のレンズは以外とお値打ちで、15000円くらいで美品を手に入れることが出来る。

 私がCONTAX139を購入した後、最初に購入したレンズはテッサー45mm F2.8だ。


 なんといってもコンパクトなボディにコンパクトなレンズでたいへん扱いやすい。
 スナップ用として使う事を考えるとケチの付け所がない。
 そして二本目に選んだのがこのバリオゾナーである。


 バリオゾナー。なんとなくロボットアニメの主役機か80~90年代特撮のバイク型マシーンのようなイカした名前だ。
 このレンズを選んだ理由はCONTAXの望遠レンズで200mmから300mmくらいの焦点距離。尚且レンズが軽量で初心者にも取り回しのよいレンズ、というテーマである。
 いずれ何処かに遊びに行く際フィルムカメラを使ったことがない方に貸出しても簡単に写真が撮れるように、という計画だ。

 また、テッサーが「寄れない」レンズである一方最短1mまで寄れるF4通しの望遠ズームと考えると割と相性がよい。
 全体的にCONTAX望遠レンズは重たい傾向にあるため、取り回しに優れるこのレンズは結構ありな選択か、と。

 実際店舗でテレテッサー200mmと比較をしてみたが、やはりピント精度というか合わせやすさはテレテッサー流石だな、という感じであったが重さと画角の調整は初心者に使っていただくケースを想定すると癖があると感じた。


 つよいぞ!バリオゾナー


 さてこのバリオゾナーレンズ。実際の写りはどうか、というと。

 

 成程確かにいい写りをする。
 個人的な印象では赤系統がよく乗る描写をすると考えているが、確かにこれくらい写ってくれるズームレンズはちょっと嬉しい。


 最短1mまで寄れる為、200mmで使用するとハーフマクロくらいの感覚で扱うことも出来る。ミニチュアもしっかり描写させて撮ることが可能な中々小器用なレンズだ。
 どちらかというとテレ端側の方が描写が優れるように感じる。
 このくらい映ってくれれば単焦点の代わりにお手軽に使うことも出来る。銘玉・バリオゾナーとはよく言ったものだ。


 バリオゾナーかぞえうた


 さて、良いところだけ挙げているわけにはいかない。
 
 少し気になる部分もある為、そちらについても触れていきたい。まずはこの辺の写真を見て欲しい。


 手法的にはさっきのミニチュア写真と全く同じようにして撮影している。
 違いとしてはミニチュアの置かれているエリアが薄暗かった為、ISO800でも少し感度が足りず、開放F4で撮影したものとなる。なんとなく見てわかると思うが、ボケが盛大すぎる。

 このレンズはズームレンズにしては開放F4とかなり明るいレンズではある。しかし開放から使えるレンズか、というと少々疑問を感じる。
 勿論好みの問題では有るのだが、個人的には開放F4表記としても実用はF5.6~F8のレンズかな、という印象。

 バリオゾナー 135mm付近F4(開放)

 ゾナー 135mm F4

 大まかに同じような画角・絞りで単焦点の135mmゾナーと比較してみる。
 やはり135ゾナーの方がボケがなだらかで、若干だがコントラストの描写(特にシャドウ部)に勝ることがわかる。
 ただし、2つを並べてよーーーく見ないとわからないレベルだ。近接撮影以外はそれほど気にするレベルではないだろう。

 また、先に少々書いたところではあるが実はこのレンズ、少しピントが合わせづらい。
 アングルファインダーを併用するとはっきりわかるがピントの山が僅かに合わせにくく、ここは単焦点のレンズの合わせやすさと比較すると少々劣るところでもある。


 バリオゾナーのバラード


 バリオゾナー、上記の弱点を補って余りある程度には便利なレンズで軽く、寄れて、画質も優れている。
 これと標準域一本あればおおよその画角をカバー出来て、単焦点と比べても若干の差異が見つかるか見つからないかというレベルだ。銘玉なのは間違いない。
 冒頭の通り、ズームレンズは足で画角を稼がなくなるという部分はデメリットに含まれてくると思うが……


 しょうがないじゃん。楽なんだもの。

 後はこれを持って旅行に行く機会を待つばかりだ。
 ただなあ、135ゾナーはもっと良く映ってキレッキレなのだよなあ。


 結局勝負レンズとしてはこっちも使いたくなるから、バリオゾナー単体が軽くて便利でも意味ないんじゃないの。




kaz

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