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kazのこんなカメラ㉛ Olympus PEN

 実は手元にカメラは色々あるのだが、ことハーフフォーマットとなると意外なほど少ない。現在しっかり使えるものは京セラのSAMURAIさんくらいのものだ。別にハーフカメラに苦手意識があるとかそういったものではなく、単純に欲しいものが中々手に入らなかった、というだけだったりする。
 私は東側のカメラを中心とし、割と節操なしに色々なメーカーのカメラを所有しているのだが、競馬が好きな友人をオリンパス沼に突き落とす過程で自分自身もオリンパス沼に再び足を踏み入れており、現在国産メーカーで一番力を入れているのがオリンパスである。
 仕方がない。私の勧誘スタイル自体が人を沼に落とす前に事前に自分で情報を徹底リサーチして安全を確認してから落とすというTVディレクターの見本のようなスタイルでもあるし、
そもそも子供の頃の憧れである昆虫写真家の海野和男先生もオリンパスユーザーだったわけだし。

 で、私が欲しかったハーフカメラ、というものがついこの間手に入ったので紹介をしておきたい。




 ハーフカメラの金字塔とも言えるカメラ、Olympus PENである。


 PENはPENでも初代PEN。これらのヒットを受けて後にセレン式露出計を積んだEEシリーズなどは割と店頭でも見かける機会が多いのだが、あくまで初代PENに拘って実は1年ちょっとくらいの間、状態が良さげなものを密かに探していた。




This is a PEN


 このカメラは後に銘機・OM-1を生み出すこととなる米谷氏が~という説明は長くなるのでしない。
 6800円という当時としては圧倒的な廉価でありながら、ライカのサブカメラとして使えるようにとレンズを(当時としては)相当に贅沢をし、それ以外のコストを徹底的に切り詰めたかなり極端なカメラだ。

 なんで初代に拘っていたのか、というとやはりこのサイズ感。後の露出計内蔵EEシリーズよりも更に一回り小さい。まさに手のひらの中に収まる撮影感がサブカメラに最適だと考えた。
 また、現在は写真用フィルムがバカみたいに高いのでフォトウォークイベントのサブなどで気軽に使えるハーフサイズ、さらにレンズはDズイコーを採用、というスナップフォトに最適なまとまりに惹かれていたわけだ。


This is my PEN


 このカメラを見つけたのは桜の花を撮影しに行った際に途中で寄ったハードオフ。
 何故かこの日はカメラ関係の在庫が物凄く充実しており、主にローライ関係のレア機やアクセサリ、中国やロシアなどのカメラがわんさかと並んでいた。
 どれも状態が非常に綺麗なので、もしかしたらコレクターさんが天に召されてしまったのかもしれない。
 元々綺麗めな初代PENを探していたこともあったのだが、ヤケに状態の良いPENが売られていたため、「まあ最悪10日間保証があるからダメなら返しに来ればいいし……」とついつい買ってしまったやつである。

 カメラと同時にフィルムも購入しすぐさま装填。購入後5分で撮影を開始し出す私のよくやるパワープレイ。
 
目測式のカメラなのだが何と言っても使用感がいい。写ルンですよりも更に気軽に撮影出来、枚数も多く撮れるため、最近はフィルムを惜しんで撮影しなくなっていた適当なスナップをバシャバシャ撮影していた。



 非常にたのしい。


How is a PEN ?


 そう、たのしいのだこのカメラ。前回Leica IIIを紹介した時にも書いたが、このPENは更にお散歩カメラとして特化している為とにかく撮影がたのしい。

 そして楽しいだけではない。
「ハーフカメラなので引き伸ばし率の関係で良いレンズを搭載しなければならない」と開発・採用されたDズイコーはこれがまた良く映るのだ。








 素晴らしい写りである。

 このカメラを使うと写真というもののプリミティブな楽しみ方を教えてもらえるような気になる。

 私のオススメな使い方としては、
なんとなくストラップを付けて手首から吊るし、
なんとなくシャッター速度1/100か1/200に設定し、
なんとなく絞りを弄って、
なんとなく距離を合わせて自分の見た物を映すようにすると非常に楽しい。

 別に使い方は人それぞれあるだろうが、個人的にはスポットメーターやスタジオデラックス、VCメーターなどで露出をバッチリ合わせ、レンズを絞り込んでキリッ、と撮るカメラとはちょっと違うんじゃないかな、と考えている。

 それらのキリッとしたメインカメラで切り抜けない一瞬の日常をなんとなく掬い取る、そういう撮り方をするものなのではなかろうか、と。




 24枚撮りのフィルムを詰めればまあ大体50枚ちょっとくらい写せて気軽なスナップ撮影が出来てよい。36枚撮りだとコスパは良いが一回の撮影でフィルムを中々使い切れないだろう。

Which PEN do you like ?


 こうして私がPENを振り回してあちらこちらでパチパチやっていたのだが、先述の友人も元々同様にPENを探しており、
「PENいいなあ、楽しそうだなあ」と口にするようになっていた。

 実は私がPENを購入した時、同行していたりょえさんぽの主宰、りょえよさんが「うちにPEN-Sが一個あるけどその値段なら譲ろうか?」と打診を受けていた。
 PEN-Sは倍数系列のシャッター速度とレンズの開放F値が2.8となり扱いやすさが増したモデルである。更に整備品という事だったのだが、初代のPENが欲しい、という事でそちらを購入していた。

 友人がPENを探しているのを見て、私はその時の話を思い出す。そして無理を言ってお願いした結果。



 りょえよさんに事情を説明してPEN-Sを譲って頂く事となった。
 こちらは私が実際に撮影テストを行った上で友人に渡している。





 いやいいよね、PEN。

 ハーフカメラも色々あるけれど、PENの「使う時は手軽に、写りは本格派」というバランスはかなり好みである。

 そういえばハーフと言えばPENTAXが新しく発売すると言われているハーフカメラ、あれは果たしてどんなカメラになるのだろうか。
 割と期待している部分がある。



 kaz




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