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カリエスリスクアセスメントは歯医者必須のツール。これをやるだけで名医になれます。

CAMBRA、カリオグラム、CRASPなど世の中には色々なカリエスリスクアセスメントがありますが、こういったツールはまだまだ必要性が理解されておらず浸透していないというのが実態です。

今回はこの重要性についてお話することにしました。


そもそも質の高い歯科医療とは?

歯科医療とは機能回復と再発防止です。(あと審美もありますがここでは置いておきます)


義歯や根治などの例外はあるものの、ほとんどの場合「機能回復」は容易なので、歯科医療のよしあしはほぼイコール「再発防止」のよしあしといえます

CRもインレーもクラウンもインプラントもブリッジも、少々下手くそだからといってさすがに「噛めない」ということはないですよね?
つまり「機能回復」はできて当たり前。

じゃあ腕の良い歯科医師や自費治療の何が良いのかというと、きちんと長持ちする「再発防止」に価値があるわけです。
5年より10年、10年より20年30年50年と、再発させないことができるかどうかが、歯科の価値そのものだといえます。


そしてカリエスリスクアセスメントは再発防止のために極めてパワフルなツール。
歯科医療のレベルを圧倒的に高めるツールなんです。


CRAがパワフルな理由1: 1歯だけでなく全顎に効果がある

良いCRやインレーやクラウンやインプラントやブリッジが入ること自体は、とても良いことです。

治療をするということは、天然歯に劣る人工物に置き換えたということ。
リスクが上がったということ。

だからそこをきちんとやるかどうかは今後の再発防止に対してすごく大事です。

でもそうはいっても、それはたかだか1歯2歯の話なんですよ。


きちんとカリエスリスクアセスメントをやって患者さんのカリエスリスクを下げられたら、1歯や2歯ではなく全顎のリスクをぐっと下げられます。

これは圧倒的に大きい成果ですよね。


CRAがパワフルな理由2: 治療だけではカリエスを繰り返す

先程こう言いました。

治療をするということは、天然歯に劣る人工物に置き換えたということ。
リスクが上がったということ。

つまり、どんな名医がどれだけコストをかけ命をかけても、所詮虫歯になる前より悪い状態にすることしかできないんです。

そして、治療を受ける必要性があったということは、この患者さんはもともと虫歯になったり歯を失ったりするようなリスクにさらされていたということ。

放っておけばまた虫歯や抜歯を繰り返すだけです。


繰り返します。


C治療は所詮前より悪い状態にすることしかできないし、それだけでは虫歯や抜歯を繰り返させるだけです。

C治療するだけで終わらせるということは、たとえそれが世界一技術の高い歯科医師であったとしても「はいまた虫歯作ってきてね」と患者さんの健康をなげっぱなしにするということです。


でもきちんとカリエスリスクアセスメントを実施して、患者さんのリスクをしっかり改善することができたら、ちゃんと再発防止ができるんです。


CRAがパワフルな理由3: 未来のリスク悪化を防ぐ

カリエスリスクアセスメントを実施したとき、一番大事なのは、患者さんに自分のリスクを理解してもらい改善につなげることです。

でも二番目に大事なのは、患者さんがカリエスリスクの全体像を理解することで、今後のリスク悪化を防止しやすくなるということです。


たとえば患者さんが何かのきっかけで毎日間食を取るようになったとしましょう。

もちろんそもそも間食をやめるのが一番なのですが、なかなかそこまでできないこともあるでしょう。

でもこの患者さんがカリエスリスクについて理解できていたら

「飲食は一日4回までにおさえたいから間食は絶対に1回までにしよう」

とか

「飲食の回数が増えないようにせめて食後すぐにお菓子を食べるようにしよう」

などとうまく工夫して、カリエスリスクをコントロールすることができますよね。

あるいは

「間食したら虫歯になっちゃうかも…」

と、そもそも間食自体を防止できる可能性だってあります。


今あるリスクを改善するだけでなく、未来に発生するかもしれないリスクまで防止できるのがカリエスリスクアセスメントなんです。


CRAがパワフルな理由4: かかる時間が短い

C治療ってどうしても時間がかかりますよね。

CR一発だって30分くらいアポおさえたりするでしょうし、抜髄・根治となったらもうSETまで何時間もかかります。


でもカリエスリスクアセスメントは15分でできます。(唾液検査をやらない場合)

C治療の質を上げるのとは比べ物にならないくらい圧倒的な効果が期待できるのに、たったの15分。

ものすごい時間対効果です。


CRAの欠点: 点数が取れない

カリエスリスクアセスメントの唯一最大の欠点はこれ。

保険適用ではないので保険点数が取れないことです。


たかだか15分インタビューするくらいで別途料金を取るのは相当な困難が予想されるので、医院の持ち出しでカリエスリスクアセスメントをやっていることがほとんどではないでしょうか。

これが唯一の欠点で、普及していない最大の理由です。


補足:同時に唾液検査を行うことで料金を頂いたり、CAMBRAのように物を売りつけて利益を出したりする医院もあります。


問診で「把握」するだけでは不十分

カリエスリスクアセスメントを実施していない医院でよく言い訳として

「問診で同じようなことを聞いてるから」

と言われることがあります。


でもこういった医院ではカリエスリスクの改善・コントロールのために十分なことができていない場合がほとんどです。


まず99%の医院では適切な項目を問診できていません。

歯科医師・歯科衛生士ともカリエスリスクについて体系的に学べる機会は非常に少ないので、自らがオリジナルであみだした問診では、聞くべきことを聞いていなかったり、不要なことを聞いたりしているのがほとんどです。

だからカリエスリスクアセスメントというツールを用いないと、必要十分な項目を聞き出せません。


次の大きな問題として、問診して医院側が「把握」するだけでは、リスクの改善・コントロールには不十分だということです。

ゴールは患者さんが知識を習得し、意識を変え、行動が変わること。

患者さん自身が自分のどんな部分でどうリスクが発生しているのか理解しないと、なかなか行動変容にはつながらないですし、まして「CRAがパワフルな理由3: 未来のリスク悪化を防ぐ」で述べた未来のリスク防止に至っては患者さんの知識習得が必要不可欠。

「問診で聞いている」だけでは、こういった効果が期待できないんです。


カリエスリスクアセスメントというツールを用いて患者さんの理解を促さないとできないことなんですね。


唾液検査のみではダメ

よくホームページでこう書いている医院があります。

「唾液検査で虫歯のリスクがわかる! 予防歯科です!」


でもはっきり言って、唾液検査だけやっても何の意味もないです。


残念! 唾液検査の結果、あなたはリスクが高いことが分かりました!

それで??


おめでとう! 唾液検査の結果、あなたはリスクが低いことが分かりました!

だから??


唾液検査をやっただけでは、患者さんは虫歯予防に役立つ知識は何も得られません。

したがってカリエスリスクは一切変わりません。

だから何の意味もないわけです。


これは何がカリエスリスクについてある程度理解できれば当然の話ではあるのですが‥‥、理解できていない歯科医師・歯科衛生士の方も少なくないので要注意です。


まとめ

歯科医療の価値は再発防止。

その再発防止のレベルを圧倒的に高められるのがカリエスリスクアセスメント。

だからこれをきちんとやるだけで、ぶっちぎりの名医になれます。


カリエスリスクアセスメントがなぜそんなにもパワフルなのかについては、下記4つの理由を説明しました。

1. 1歯だけでなく全顎に効果がある

2. 治療だけではカリエスを繰り返す

3. 未来のリスク悪化を防ぐ

4. かかる時間が短い


加えて、注意事項として下記2点についても話をしました。

1. 問診で「把握」するだけでは不十分

2. 唾液検査のみではダメ


今回は以上です。


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