長谷川線型代数を読んでる

春から読み始めた長谷川線型代数をついに1/3まで読み終えた.

読み始めたきっかけは,仕事で数学に接する機会が増えた(とはいえ,接するだけで,数学を利用しているわけではない)こともあるが,いちばんは「ジョルダン標準形」を理解したいということだった.初めて線型代数を習ったのは,多くの理系大学生と同じく大学1年生の時だった.当時の講義は,とても分かりやすく,物理で登場するような応用例も豊富に紹介してくれ,毎週の楽しみであったことを覚えている.その講義の最終回で,先生が「ほんとはジョルダン標準形も扱いたいが,時間がないので自習をしておいて下さい」と発言されていた.その言葉が,ジョルダン標準形という単語とともにずっと残っており,いつかは理解してみたいと思っていた.

その後は,大学での専攻があまり数学を使わない分野だったせいか線型代数からも遠ざかっていた.そのため,しばらくは数学と無縁の生活を送っていたが,就職して数学に触れる機会が多くなり,再び数学の勉強をしたくなってきた.そこで,例のジョルダン標準形のことを思い出し,長谷川浩司著の『線型代数』を手に取ることにした.

長谷川線型代数は,3部構成となっている.第1部では,一時期高校の教育課程にもあった2×2行列で線型代数の世界に慣れることを目標としている.2×2行列ではあるが,重要な概念である「行列式」,「固有値・固有ベクトル」,「内積」などが導入され,手計算ができる例を通して理解を深めることができる.念願だった「ジョルダン標準形」も早々に登場したのが嬉しかった.第2部では,n次元の行列で,より一般的な例を考えていく.第3部は,他分野への数学の応用に触れることができ,量子力学の初歩までも垣間見ることができる.

この3部構成のうち,3か月程度かけて第1部を読んだ.登場する例や練習問題を追いかけるよう心掛けると案外時間がかかってしまった.分量としてはまだまだ読めていないし,内容的にも2×2行列を勉強したに過ぎない.とはいえ,長谷川線型代数の特徴でもある豊富な応用例によって,この後に登場する重要な概念を2×2行列によってみっちり勉強できた感じがある.微分方程式の解法も述べられており,その解曲線をプログラムを書いてプロットしたりと楽しめた.そして,「はじめに」にも書かれていることであるが,「やや冗長ではあっても,(中略),読んだところまでは着実に「役に立つ」ことを願っている」とある通り,四苦八苦しながらも読めたところは確実に理解できた充実感がある.

いよいよ,第2部を読み進めることになる.ギョッとしてしまうような行列式の定義を始め,内容もどんどん抽象的になるだろう.でも,結局は趣味で勉強をしているに過ぎないし,楽しながら読み進めていきたいと思う.

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