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「桜の塔」を見た(ネタバレあり)

ドラマの「桜の塔」を見たので、感想を述べてみる。

このドラマは、一言で言うと「桜田門版、白い巨塔」と言っていいだろう。

幼い頃に、警察官の父を自死で失った少年が、父の死の真相を明らかにするべく、自ら警察官となり、出世競争に身を投じていくという話だ。

このドラマは、大きく3つの特徴があるのでそれらを以下に述べていく。

三つ巴の戦い

出世競争を描いていく際に、対立構造をわかりやすくするために「東大派」「薩摩派」「外様派」という派閥に分けて描いていく。

まぁ、警察庁での出世争いなので、東大派はわからなくもないけど、対立軸で「薩摩派」てなんなの?「外様派」って?いつまで明治維新引きずっているの?と言う感じなんだが、ここは思いっきり漫画チックな設定だが、これを受け入れると話がグッとわかりやすくなる。

ポイントは、白い巨塔の1対1の対立構造とは異なり、三つ巴の構造を作っているところにある。三つ巴になると、均衡するか、1対2になるため、話の流れによってどちらに偏るのかが読みにくく、話に変化をつけやすい。さらに派閥の領袖は、同じ釜の飯を食った同期と言う設定で、警視総監の椅子を狙っているものの、実は仲が悪いわけではないというところがあるため、さらに、誰がどのタイミングで手を組むのかが読みにくい構造になっている。

真相究明だけではない

主人公は、父の死の真相を明らかにすることが目的なのだが、背後に警察の組織的隠蔽があるため、自ら権力の中枢に近づかないと真相が究明できないという構図になっているため、自分も権力闘争に身を投じしていく流れになっている。

自らが所属する派閥を含め、どの派閥のリーダーが事件に関係するのか、誰を信じていく必要があるのかなど、回が進むごとに変わっていく。この派閥争いの軸と、父の自死の真相究明という二つの軸が相互に関係しながら話が進んでいくところが、単に真相究明のドラマであったり、単に出世抗争を描いたドラマではない魅力がある。

深刻になりすぎない

このドラマでは、主人公が出世をするために、派閥の領袖と同じくらいの悪事に手を染めていくことになる。こういった流れのドラマは必ず、全体的に重苦しくなってしまいがちなのだが、そのそもそもの派閥設定であったり、各派閥の領袖を演じる、吉田鋼太郎、椎名桔平、光石研三者が出世のためならなんでもやっていくという部分に、自分にはある種コメディに見えてしまい、結果主人公がやっていることとのバランサーになっていたように感じた。

役回りはかなり違うが、「踊る大捜査線」に出ていた、北村総一朗、斉藤暁、小野武彦的な感じにも思えた。もちろん、スリーアミーゴズと異なり、本ドラマの3名は真剣に派閥争いをしているのだが、やはり真剣に演じれば、演じるほど現実との乖離が大きくなって、コミカルになってしまう。

個人的には、ぶっ飛んだドラマでとても楽しんで見ることができた。ありえない設定を受け入れることができれば、見てみてもいいのではないだろうか。


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