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ウドの三段活用

春といえば山菜! すでに季節は初夏に差し掛かってますが、ウドはまだまだスーパーで売っています。天然ものの旬は3月後半から5月、栽培ものは11月から出荷が始まり、同じく5月までが旬となります。独特の香りと歯ざわり、苦みがクセになる食材ですが、使い方がよくわからず、イマイチ手に取りにくい食材かも知れませんね。

ウドは捨てるところなし!

ウドには「茎」「芽」「皮」の3つ、それぞれに使い道があります。これを知っておくと、スーパーでウドを見かけるとついほしくなってしまうかも。

ウドを買ってきたら、まずは分解していきます。最初に、茎から伸びている触手みたいな芽を外します。手でブチっと外しても良いですが、包丁のほうが圧勝で楽です。

続いて先端の柔らかいところを切り落とします。これも芽扱い。

全体をしっかり洗って泥などを落とし、適当な大きさに切り分けたら、皮をむいていきます。皮も茎も空気に触れると変色していくので、ボウルに水を張っておいて、切るたびに入れておけば変色を防げます。

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これで3つに分けることができました。では、それぞれの処理および調理法を説明します。

ウドといわれると頭の中に出てくる白いアレ。そう、それです、ソレ。それがウドの茎の部分、皮をむいたものです。写真で言うと左上ですね。

先ほど説明したように、ここは変色しやすい部分です。切ったそばから水もしくは酢水にさらしていかないと、せっかくの美しい白さが二日酔いの朝の顔みたいにくすんでしまいます。なので必ずボウルに水を用意してから切り始めてください。

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茎の部分は生でも食べられます。独特のシャリっとした食感とほのかな苦味があり、新鮮でいいものはまるでリンゴを食べているような甘味すら感じます。なので基本的には生でスライスして、酢味噌和えや塩昆布和えなどでいただくのがおすすめです。サラダや酢の物、カルパッチョなどもいいですし、加熱するにしても天ぷらのような素材の味を生かすものが良いでしょう。やってみなくちゃわかりませんが、煮物とか、ましてやカレーにするのはちょっともったいない気がしますね…

ウドを料理として仕上がったものしか知らない人が初見で「なんやこれ」って思うのは、きっとこの触手みたいな芽のところ(正確には脇芽)じゃないでしょうか。白いとこが大根のように売ってるって思ってたら、本物のウドは華麗にスルーされてしまうでしょうね。

でもこの触手みたいな脇芽、そして先端の芽がうまいんですよ!

みなさんも「タラの芽」って聞いたことがあるかと思います。春の天ぷらの中ではトリを飾れるほど、山菜採りでもメインイベントに据えられるレベルの大御所です。タラの芽はタラの木から、ウドの芽はウドから採れますが、どちらも同じウコギ科タラノキ属。つまりウドの芽は、山菜界の大御所「タラの芽」と肩を並べるレベルの実力を持っている、ということなんですよ。すごくないですか?

もうおわかりかと思いますが、芽は天ぷらが一番おすすめです。特に天然ものはタラの芽と遜色のないおいしさで、ふんわりとした食感に独特の苦み、そして春を感じさせてくれる香りがなんとも言えない至福のひと時を与えてくれます。また日本酒との相性がグンバツで、ぬるめのお燗なんてもう最高の一言。もちろんビールやハイボールとも文句なしにうまいです。他にはおひたしや炒め物にも向きます。写真は触手みたいな部分とホタルイカをガーリック炒めにしたものですが、これもまたお酒が進む1品ですよ。

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ウドには捨てるところがありません。皮の部分ですらおいしく食べられます。千切りにしてきんぴらにすると、ゴボウとはまた違った風味と食感があっておすすめです。また、ベーコンなどと一緒にバター炒めやお味噌汁の具にしてもおいしいですよ。

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写真の見た目は完全にゴボウのきんぴらっぽいですが、実際ゴボウをウドの皮にしただけです。他の部分と違って、味付けなどが必要な部位ですので、きんぴらの作り方をざっくりご紹介しておきます。

【用意するもの】
うどの皮
人参
醤油

みりん
ごま油
ごま
フライパン

1.フライパンにごま油をひいて千切りにしたウドの皮、ニンジンを入れて炒める

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2.全体に油が回ったら酒、みりんを加えアルコールを飛ばしながら全体になじませ、醤油を加えて炒めながら水分を飛ばす

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3.水分がほとんどなくなったら火を止め、ゴマを加えて混ぜる。

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これくらいまで水分を飛ばしてください。甘さが欲しい人は砂糖を、辛みをつけたい方は初めに輪切り唐辛子をそれぞれ入れてください。きんぴらは保存が利くので、常備菜として重宝しますし、ぜひトライしてほしいです。

きんぴらというものは、根本的には「醤油を使って甘辛く仕上げた炒め物」と考えて差し支えありません。日本酒もみりんも使わなくても、普通の油と醤油と砂糖だけで炒めてもいいんです。ただ、砂糖よりもみりんのほうが甘味だけでなく風味とコクが生まれ、日本酒を入れることで風味豊かにし酒との親和性を高めて、ゴマやごま油を使えば香ばしさがアップする、といった具合です。どういう状態に仕上げるか、その目的のために調味料や手法が存在するので、捉われすぎることなく自由にやってみてくださいね。

というわけで、ウド三段活用、いかがでしたでしょうか。ウド好きになってませんか? まだですか? うーん…一度ダマされたと思ってやってみてください。そうすれば、ウドのこと好きになるはずです。酒飲みならなおさらです!

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