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与える側、与えられる側

#仕事について話そう

私は損害保険会社で長く交通事故の示談交渉に携わって来ていて、新人に教える際には「相手の気持ちになって、相手が心配している(困っている)事からクリアにしてあげるように」と偉そうに言っていました。
しかし、理不尽な人や妙に被害者意識が強い人には、私自身も腹立たしい対応をしてしまう事もしばしばあったりして、これは「相手が私の話を聞かないからだ」と自分なりに自分を正当化していたに過ぎないと改めて反省する事もありました。

実は今、私は大腸癌で手術のために入院中です。
仕事の目線から考えると、私は与える側から与えられる側に立場が変わった状況です。

毎日昼と夜の担当看護師がそれぞれ居て、私の身の回りの事や管理を手取り足取りしてくれます。
もちろん私は仕事ではないので、漠然と看護師個々の対応に身を任せているのですが、人によって対応がまったく違うんだなと少しびっくりしました。

例えば夜の見回りの際、私がすでに眠っていると「電気消しますね」と消してくれる人が居れば、深夜になろうが消してくれない人もいる。
体拭きますかと来た際には、全部拭こうとする人、大事な部分は自分でやりますか?と聞いてくる人、自分で出来ますよねとタオルだけ置いて行く人。
レントゲンに呼ばれてるんで一人で行けますか?
私が「はい」と答えても、部屋を出る際にまた大丈夫か確認に来て、帰って来たらまた確認しに来てくれる人、一人で行けるなら大丈夫だろうと何もしない、何も声がけしない人...
見ているとキリがないけど面白い。

もちろん家庭環境や性格もあるだろうが、自分の担当患者さんが困ったり、悩んだりしないようにしてあげようと意識があるか無いかにもよる。
私は話好きなので、来る看護師みんなと会話をするが、やはり周りから人気がある看護師さんは、明るくてダメな事はちゃんと叱るし、たわいのない会話を必ずして行く。
彼女にオヤジの如く「一緒に写真撮らせて」と言ったら、快く私の横でピースしてくれた。
これさえ断る人もいるが、彼女は看護師と患者の距離を知らぬ間に縮めている。

与える側、与えられる側...
今回は与えられる側にフォーカスした文章だが、大切な事は相手の気持ちになるだけではなく、寄り添ってあげられる事だと感じで止まない。
また与えられる側は、いつもやってくれた事に感謝して「ありがとう」とこたえる。
当たり前の事。
今の時代は、それすら希薄になって来ている。

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