第9回/それでも南野拓実を諦めない

更新頻度が落ちてしまっている。
理由は様々だが、つまるところ筆者の怠惰である。
当初「1週間に1回の更新」と大風呂敷を広げてみたものの
直近は月1回のペースになってしまっている。
マズい。
せめて2週間に1回は更新できるよう、気合を入れ直します。

今回のネタは、W杯が終わった後に書こうと思っていたネタ。
だいぶ機を逸した感があるが、
W杯後初のテストマッチが3/24にウルグアイと決まったということで
新生日本代表に期待を込めて、本記事を書いていきたい。


遡ること、2018年10月16日。
日本代表は奇しくも今回と同じく
「W杯後初のテストマッチ VSウルグアイ」
というカードだった。

ウルグアイはベストメンバーとは言えないものの、
それでもフェルナンド・ムスレラ、ディエゴ・ゴディン、ルーカス・トレイラ、ロドリゴ・ベンタンクール、エディンソン・カバーニといったそれなりの面々を揃えてきた(トレイラ、ベンタンクールなどの若手は、当時まだ覚醒前だった記憶があるが)。

一方日本は直前のロシアW杯のメンバーを残しつつ、新たな血を入れた。
それが顕著に表れたのが2列目の布陣。
ロシアW杯の基本スタメンから全員が総とっかえとなった。

2018ロシアW杯での中盤基本布陣
https://www.footballchannel.jp/2018/07/03/post279349/


2018年ウルグアイ戦での中盤の並び
https://www.footballchannel.jp/2018/10/16/post293240/


この2列目の3人が躍動。
特に南野拓実は2ゴールをあげ、「世代交代」を大きく印象づけた。
その後南野は代表において重要なキーマンとなった。

https://twitter.com/soccernews_euro/status/1052159926934458368


個人的に、南野のプレースタイルは好きだ。
異論はあるだろうが、「より直線的な香川真司」のようなプレースタイルだと思っている。
ドリブルで仕掛けるのが得意な点は香川と同じだが、香川がよりテクニックを活かして複数人をかわしながら進むのに対し、
南野のプレーは最短でゴールに向かうプレーが多い。
また香川よりも幅広いエリアを攻守にカバーでき、ハードワークする。
「より現代風な香川」と言ったとこだろうか。
個人的にはトップ下というよりも2トップのシャドーのポジションに適性はあるように見える。

個人的に南野のプレーで印象に残っているのが、2019年アジア杯準決勝イラン戦。比較的最近の試合なので覚えていらっしゃる方も多いかもしれない。

この試合の後半11分、イラン選手のチャージにバランスを崩して倒れる南野。
イラン選手はノーファールを主審にアピールし足を止めたが、南野は即座に立ち上がりプレーを続ける。
慌てたイラン選手が追いかけるも、南野の上げたピンポイントのクロスは大迫勇也がヘディングでコースを変え、ゴールに吸い込まれた。


南野「ファウルじゃない!!」
イラン選手たち「ファウルじゃない!!」
審判「ファウルじゃないよ」
画面全員の意見が一致している平和な風景

サッカーをやっていると「笛がなるまでプレーを続けろ」と良く言われる。
しかし実際プレーヤーは足を止めがちだ。
南野のこのボールへの執念はまさにお手本であるし、観ていて心を打つものがあった。


若くしてセレッソ大阪で頭角を現し、オーストリア・ザルツブルクの地で着実に実力を蓄え、
2019年には当時最強とも謳われたイングランド・プレミアリーグの名門リヴァプールへ移籍。
前年のヨーロッパチャンピオンのチーム、かつ獲得が監督のユルゲン・クロップ主導ということ(クロップはドルトムント時代に香川を寵愛したこともプラス要素に思えた)ことから大きな飛躍が期待された。
しかし厚すぎる選手層、プレミアリーグのテンポに馴染めなかったのか、リヴァプールでは出番に恵まれない日々が続く。
クロップは「タキ(南野の愛称)の調子は悪くない」という趣旨の発言を繰り返しており、実際数少ない出場試合ではそれなりに見せ場を作っていたが、強度の高い試合での起用は少なかった。


また、日本代表においてはシステムが変わったことで
得意としていたトップ下がなくなり、左サイドでのプレーを余儀なくされる。
南野は再度を駆け上がってクロスを上げるようなタイプではないため、
自分の持ち味を出せず。
クラブでの出番減少と代表での不慣れなポジションで
完全に自身のフォームを見失っているように見えた。


やがて、フォームを崩しているうちに鎌田大地ら、新戦力が台頭。
筆者の感覚として2018年新チーム立ち上げから2年間はチームの中心であったものの、残り2年間は脇役に追いやられた印象だ。
W杯本大会で鮮烈な印象を放った、伊藤純也や三苫薫に主役を座を奪われてしまった格好だ。
極めつけはクロアチア戦でのPK。
誰も蹴ろうとしない雰囲気を察し、自ら志願した中での失敗。
見せ場の一つで成功することが出来なかった彼の姿は、ここ数年の不遇を象徴しているようで、あまりにも残酷なシーンだった。

https://the-ans.jp/qatar-world-cup/288747/



このまま終わってしまうのだろうか。。。
しかし彼はまだ28歳なのである。4年後は32歳。十分チャンスはある。


ザルツブルク時代のチャンピオンズリーグで、
敵地アンフィールドで王者リヴァプールをあわやのところまで追いつめた躍動感あるパフォーマンス。
セレッソ時代、チームメイトの元ドイツ代表のカカウに「パスを出せ」と言われた際、「うっさいんじゃ、ボケ」(サッカーマニアの間では「USB発言」として有名)と言い返した勝気な姿勢。
上記のイラン戦での執念のプレー。
少し前の南野は魅力にあふれた選手だった。
なにより、シンプルに「ギラギラしてかっこよかった」。

あの頃のプレーを取り戻してほしい。
弱気な南野拓実はもう観たくない。
カタールでの悔しさを、4年後北米で爆発させてほしい。

南野拓実を諦めない。

筆者はそう思ってやまない。







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