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  帝 

  帝
  帝

貴方は 私を 変えた

貴方が 私の前に 現れなければ

私は あのようなことは しなかったわ

沢山の 求愛 

   私は 幼子のままでいたかった

    私は 私の運命を呪った


   おまえは にんげんではない


 私は知っていて 

 心の奥底で 知っていて

 年老いた両親に育てられながら


 成長するに従い それに 気がついていき


 こわくて こわくて 泣いた

    両親の わたしへの愛情が 


      苦しくなっていく

  毎夜 月を 見ては 泣く 私を見て

  お父さんも お母さんも 悲しむ


      どうしたんだい?

     わけをはなしておくれ!


 いえない!! いえない!!いえない!!


私は それ以来 心配をかけまいと

気持ちを隠すようになっていった



月日の流れに あらがえず

      私は 成人した


  桜の花の 咲き誇る あたたかな午後


  私は 両親のいいつけをやぶって

  御簾の外へ出た


   帝 それが わたしの過ちでした


     

   




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