ガールズトークのブラックホール
男の人にも、女の人にもいろいろな人がいるので一概にはこうと決めつけるわけにはいかないけれど。性別関わらず、友情というものは確かにある。そう思う。思いたい。でも時々、女同士の友情が怖いと感じることがある。当人同士は友情…親友だと信じて疑っていない。けれど、傍から冷静に分析するにそれは本物なのか?と疑いたくなる時があるのだ。
女子気質の強い人は、いくら親友だと言っていてもどこかで競い合っていることが多い。美貌や体形、ゲットした男の数、愛され度合い、ファッションのセンス、主人を比べ、子供を比べ、所得を比べる。もし、負けた…と感じたら、勝てる何かを即座に探して自分の方がイケてるわと気持ちを高める。
ちょっとした会話の中に、上手く相手の駄目なところをつついては笑いにする。笑える話の中で自分の攻撃を散りばめて、モヤモヤを解消している。
そんな人の裏側の、聞こえるはずもない声が聞こえる会話を耳にすると、怖くなる。ガールズトークにはそんなブラックホールの様な穴がいくつかある。
そういう私だって女の中の女なのだが、このガールズトークが苦手だ。女子高だったので、気にしたことなかったけれど、それは男の人がいない世界だからだと思う。このひどい感じのガールズトークというものは、きっと男の人が交える世界でのことだ。
私にだって恋に恋するような時期があったが、女子力が低く、恋のテクニックなどない私は、無防備に幾度も友達と言う名のライバルに攻撃された。が、これがまた、攻撃されていることに全然気づかないというヌケ作ぶり。「あ。あれはもしや…。」とずいぶん後になって気づくのだ。言葉通りにとっては、「え。こないだ言うてたんと違う?」とか、知らぬ間に陥れられたりとか…?何せ、疎い私には、その意図が全く分からないで、嫌な感じだけが残っていた。そして、何も行動出来ぬまま、恋をあきらめるのだ。可哀想な昔の私…。だけど、所詮、それであきらめるくらいの恋だったのだ。今振り返れば、しょうもない彼だった。
私も随分あの頃よりは大人になったし、友達もリアルな数人と縁を繋ぐだけの平和な日々を送っている。だから、すっかり忘れていたのだが、最近久しぶりのガールズトークを耳にして、ザワワッと記憶がよみがえった。私の苦手なガールズトーク。いやな感じのヤツだ。私の耳は昔より感度がいい。言葉の含みまで聞こえるのだから。何時の時代もいくつになっていてもあるんだ…。何か関心してしまう。自分に火の粉が降りかからなければ、怖いけどちょっとおもしろい。
そんなにガールズトークで競い合っているのに、親友なのだ。嫉妬であふれかえているのに、親友。チクチク傷つけあいながら、お互いを必要としてもいる。その関係性については、いくら耳の感度が良くなったといえど分からない。そもそもガールトークが苦手なものにその矛盾した関係が理解できるはずもないのだが、気になる。いつか、負があふれ出してしまわないか?その時、修復不能になって、親友ではなかったと気づくとき、二人はどうなるのだ?それとも、ずっとその調子でいくのか?他人事だけど、すごく気になっている。
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