いつもうわてだった人

今日、8年前のメールを見ていたら、当時付き合っていた彼に対する別れのメールが出てきた。

8年前とは、ちょうど20歳位のときだ。

「＠＠くんへ

やっぱりもう一緒にいるのはやめよう。さっき雨の中歩いて帰ってきてる間ずっと考えてたけど、私は＠＠君の嫌なところしか見えないし、自分でも自然と＠＠君との時間を作ろうとかそういう気持ちも起きません。

家のこととか全然やってくれないのとかも、もうどうでもいいけど、毎回同じことでイライラしなきゃいけないのもつらいし、こういう感覚は一生合わないままだと思う。

雨の中、夜中に女の子ひとりで帰らせるとかすごい神経してる。別に私だからいいけど、普通は心配とかするものじゃないの。もう関係ないけどさ。私はそういう人と付き合っていけない。

それでもいままでいろいろ一緒にいてくれて、楽しいこともあったしお世話になったと思うから、いっぱい感謝しています。次の女の子とは幸せになってね。

最後にメールでごめんね。
荷物は少しずつ家に取りに来てください。いやなら私が運ぶから言って」

とまあ、こんな感じのツッコミどころの満載なメールだった（笑）

（もう8年前は自分のようで他人事なのでここで公開してしまった…。）

特に最後の『いやなら私が運ぶから言って』あたりがツボだった（笑）

しかし、こんなメールを発見したところで、当時彼とは別れなかった。どんなやり取りをしたまでは覚えていないけど、実際彼との付き合いは続いた。

いま客観的に思うと、こんなきついメールを貰っても関係を続けてくれていた彼は、まあまあ心が広い人だ。

私は当時、付き合いたてのころ、自分が感情的にムキになって怒っていた記憶はあるけど、彼から怒られた記憶はない。

20歳というのも彼との付き合いたての頃で、この頃は特に怒っていたんだろうとも思うけど、次第に怒らない彼に対して、私もだんだん怒らなくなっていた。

そんな彼と、たくさんいろいろなやり取りをしたけど、実はほとんど忘れてしまっていて

でも今でも鮮明に覚えているのは、最後別れるときのやり取りだった。

彼は私のあらゆる活動を応援してくれる人だった。

でも私は、ともに成長できるパートナーシップというものを求めていた。

彼は仕事をしっかりやる素晴らしい人だったけど、コツコツ積み上げていく形で、何かに挑戦するとか、冒険する人ではなかった。いつ話をしても、特に変わりばえのない仕事の話だった。

今思えば、そんな当たり前のことを積み上げられる彼は本当に素敵な人だ。

でも当時、私はそんな彼とこれ以上居続けることを続けられない気がして、彼との長い付き合いの末、最後のお別れのメールを送った。私が、新しい挑戦のタイミングをむかえるときだったから。

その時の内容はほとんど覚えていないのだけど、それでもやっぱり、ちょっときつかった気がする。

「本当に私のことを応援してくれるなら、別れてほしいです」と、そんな残酷なことを伝えた気がする。

その時の彼の返信は

「わかりました。これからもずっと、応援しています。

何かあったら、いつでも連絡して。ではまたね。」

と、これだけだった。

その時の履歴は残っていないけど、すごく覚えている。

なぜなら、これだけ長い付き合いをしたにもかかわらず、終わり際、最後まで感情的なことをぶつけてこなかったから。

「どうしてお前はいつも自分勝手なんだ」

「少しは僕の気持ちを考えてくれ」

「これだけ長く一緒にいたのに」

いくらでも思うことはあったと思う。私のように、粗い言葉で相手を傷つけることも、ぶつかりあうこともできたはずだけど、

最後の最後まで、彼はうわてな人だった。

言葉にし、伝えること、議論すること、コミュニケーションを取ることもすごく大切だ。

でも彼が私に教えてくれた優しさは、相手の思いを受け入れるという強さだ。

相手に自由を与え続けること。それはとても、難しいことだ。

「自分の道を進むと決めたら進む人だと言うことを知っているからこそ、相手の決断に口を出さない。最後まで尊重する。

それが自分が思い描く未来と相反していて、とてもさみしいものだったとしても」

そんな彼の思いを、わずか数行のメッセージから感じた。

その最後のやり取りを終えて、私は本当に素敵なパートナーと付き合っていたのだと感じた。

今まで出会ってきた人が教えてくれたことが、今の私を作っている。

私は彼から貰った強い優しさを、これから出会う人に与えていきたい。

「ずっと、応援しています。何かあったら、いつでも連絡してね。」

本当に本当に辛いと思ったら、きっと連絡できるから、今日も私は自分らしく前を向いて生きていこうと思う。