愛の循環、もしくはピーナッツバタートースト。
緊急事態宣言中に、ある言葉が私の心に宿った。
大層な言葉ではない。けれども、確実に自分の真ん中に置くことを決めた言葉だ。
緊急事態宣言なんて遥か昔の話のように感じられるかもしれないけれども、ついこの間のことだ。そしてこの時期、閉塞感や不安感、先行きの見えないもどかしさを感じられていた方が多かったのではなかろうか。
かくいう私もその一人だった。
軒並み、予定されていた個展やイベントは中止。延期になったところも、いつ開催できるか、わからないままだ。多くの方と同じように家に閉じこもる日々だった。
(3月開催されていた京都での個展が会期半ばで中止になった際のアナウンス↓)
でも。
こんな状況だからできることってなんだろう?と悶々と考えた時に、とてもシンプルな答えに行き着いた。それは、自分の手の届く範囲で笑顔を増やしていこう、と言うことだ。例えば、会えない友人にむけてお気に入りの便箋でお便りを書き、ちょっとしたお菓子を同封するとか。家族と会話する際、にっこりしながら話を聞くとか。家族や友人に限らず、SNSで発信する際も、少しでも目に留めてよかったな、と思ってもらえる内容を心がけるとか。
そう。笑っちゃうぐらいに小さなことだ。
でも、連日の暗いニュースや先行きの見えない閉塞感が漂う世の中で、それぐらい意識していないと、知らず知らずのうちに自分自身、暗くて不安な方向に流されていってしまいそうだったのだ。
そう決めた時にふっと浮かんできたフレーズが" spread the love"。
直訳すると、「愛を広める」というニュアンスの言葉だ。
ここで、いきなり話が飛ぶけれども、今も昔もピーナッツバターに目がない。(どれくらい好きかというと、瓶から直接スプーンですくって食べれちゃうぐらいに。余談続きに言うと、多分私にとって幼少期を過ごしたアメリカの味を思い出せるからだと思う。)トーストしたパンに、ピーバターを塗ると、すーっとパンの中に浸透していく。一瞬にしてパンとピーバターは合体し、もはやそれはもともとひとつのものだったのではないか、というぐらいにくっ付き合っている。spread the love という行為を想像すると、自分を軸に、周りの人にあたたかさがじんわりと浸透しながら広がってゆく感じがするのだ。まるでパンに吸い込まれていったピーバターをもう一度分けることができないような温度感で。
結果、そのあたたかさに呼応して、私も巡り巡ってポカポカしてくるというわけだ。
ところでspread the love というのは、pay it forward と似てる。
自分を自分で満たす
↓
満たされた状態の自分が誰かを愛する、優しくする
↓
満たされた人は、その人のまわりにも同じ行為をする
↓
以下、繰り返し
結局、自分がしてほしいと思うことを人にすること。
そして、他人に優しくする余裕のない人や状況的に難しいと感じた場合は、まず自分に優しくすることから始めること。自分で自分を優しくすることで、周りの人に対してもそうできるように、自ずとなっていくものだから。
つまるところ、これは愛の循環の始まりだ。
(だから、spread the loveというフレーズを、私は、愛の循環を私は訳していく。)
*冒頭の写真は、芸術支援サービスmeceloの「原画付き質問カード」プランです。
毎月、支援者の方にプランに応じたアートワークをお送りしているのですが、spread the love というフレーズが浮かんできた時に、ささやかな特典をつけて、愛の循環を育みました。meceloの詳細はこちら。
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