ポートランドと日本を結ぶ「クリーンテック」イベントから、2021年春の備忘録。

先日とあるイベントに参加した。ポートランド市振興局が主催するClean tech B2Bというイベントだ。

シンプルに伝えるならClean Tech、つまり気候変動問題に対して、エネルギー、グリーンビルディング、グリーンインフラなどの事業を立ち上げている事業者と投資家などを海を超えて、ポートランドと日本で繋ごう!というもの。

私はポートランドに住みつつ、日本で登記した日本法人で日本国内にサステナブルな日用品を届けるD2Cを事業としてやっている、というなんとも中途半端なポジションではあるけど、ポートランド、気候変動、日本という3つのキーワードに惹かれて参加をした。

なぜポートランドとクリーンテック?

ポートランドと言えば、なんとなくサスティナブルでエシカルな街。リユースやリサイクルが盛んそう、といったイメージを持っているかもしれない。実際に、2015年の段階で気候行動計画(CAP)を発表した街だ(全米の都市で初めて)。いま日本でも話題の温室効果ガスの排出量削減についてもで、ポートランドは2030年までに40%の削減、2050年までに80%の削減を目標としている。私がポートランドに住み始めたのは2019年だが、公共交通機関の発達と自転車で通勤する人の多さに驚いたのは取り組みの表れのひとつと言えるだろう。

詳細は以下も参考になるのでリンクを貼っておく。

官民連携と書かれているとおり、上記のポートランドのクリーンテックの取り組みの特徴が、州や市といった「官」だけではなく、企業やコミュニティが連携して行っていることだ。暮らす人、働く人、みんなの目標であり、みんなの取り組みになっている。

CleantechB2Bはその官民連携の象徴的なイベント

CleantechB2Bは、主催はポートランド市だが、企業が多く参加し、また日本からも官民両方が参加する。基調講演には、日米のクリーンテック業界の現状をClean Edge Inc.のローン・パーニック氏、東京大学大学院総合文化研究科 客員教授の小林光氏が解説。そして日本と、西海岸の企業の取り組みがプレゼンされた。

B2Bのイベントだから、ほしいもの、求めるものという実利があって参加しているわけだが共通しているのは、気候変動に対する危機感だ。一方で、その地域が置かれている状況(そこで体験できる状況)と国の方針や、社会の風潮によって取り組む内容や姿勢には差異が出ることも感じている。

官民連携はもちろん、国内だけじゃなく内外入り混ぜてディスカッションしたり、協業する必要であるテーマと再認識している。

どこでも言われていることかもしれないが、簡単に今回感じたことを自分の備忘録として載せておく。

気候変動には国境も組織もない。

ひとつの国、ひとつの地域がおいていかれて、そこが二酸化炭素を排出し続けていれば、全世界に影響がおよぶ。だから他国、国境も言語もカルチャーも超えて、組織も超えて、双方の取り組みに目を向けることが大事なわけだ。

得意なことと苦手なことを掛け合わせないと間に合わない。

日本は水素関連の研究開発がやはり盛んなのだろう。一方で、再生可能エネルギーは海外が進んでいる。当然のことながら、何を目的にするかだが、地球環境を一番に考えるなら、企業も国境も目の前の利益などは取り払って取り組む時なんだろうと思う。

みな関心は高いから、スタートアップが日本にももっと登場したらいい。

米国に暮らしていると、日本においてはSDGs、環境領域の企業がまだまだ少ないように感じる。今回のイベントの参加者はオンラインだが90名を超えていた。ビジネスとして興味がある人がそれだけいるのだ。炭素削減が日本でも昨年秋から話題になりつつある。2021年はたくさんのスタートアップが登場しそうな予感がしていて、個人的に楽しみに思っている。

このイベントでは開催後、主催のプロスパーポートランドが参加者同士が繋るフォローアップをしてくれた(私も数名の方とコンタクトしてお話することができた)。クリーンテックのみならず、ポートランドの街に興味がある方は、ここのメールマガジンも役立ちそうだ。

移住して、すぐにCOVID-19がやってきて、初めて街の人たちと仕事で交流したかもしれない(笑)。ワクチンが徐々に広まって、少しの日常が戻ってきている証拠でもあり、私の移住日記もそろそろ次の展開を考えようかなと思い始めている。

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