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松戸を盛り上げたいひとが集まりました~古民家を地域とつながる場にしよう!vol.1「古民家お座敷フォーラム」in隠居屋

6月16日の土曜日、どんよりとした梅雨空をものともせずに、その古民家にはひとがぞくぞくと集まっていました。松戸市南花島にあるその古民家の名前は「隠居屋IN kyo-ya」。

大正時代に建てられたこの古民家は、オーナー代理の石井さんの強い希望もあり、地域のひとたち、クリエイティブなひとたちがつながる場にしようと、時間をかけて改装をしてきた建物です。この春改装が完了し、キックオフイベントとしてこの日のイベントが開かれました。

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古民家を地域とつながる場にしようvol.1「古民家お座敷フォーラム」と銘打って開かれたこのイベントは、女将の思いを受けてomusubi不動産が企画したもの。参加定員40名が満員御礼。隠居屋のスペースは期待に満ちたひとたちで埋まりました。


イベントにはゲストとして、「ほしい未来は、つくろう。」をコンセプトにしたWEBメディアを運営するNPO法人グリーンズの植原正太郎さんと、クラウドファンディングでクリエイティブな活動を支援するクラウドファンディングプラットフォーム「MotionGallery」の大高健志さん

お二人の古民家活用やコミュニティーづくりのスペシャリストとしての経験や知恵から見えるものは?進行はomusubi不動産代表の殿塚建吾さん。古民家を地域とつながる場としてどう活用できるのか、活用するために必要な考え方などを、参加者みんなで考える場となりました。

<イベントの流れ>
女将さん(石井さん)の話~ご挨拶
omusubi不動産殿塚さんの話~古民家保存の難しさ
greenz植原さんの話
    ~「場」を活かしたコミュニティー作りのヒント
MotionGallery大高さんの話
    ~ひとを集められる「場」にしていくために必要なこと
(休憩)
対談~「隠居屋」から松戸を盛り上げる!

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<イントロダクション~おかみさんと殿塚さんの話>

まず最初に、「隠居屋IN kyo-ya」の女将でもある石井さんが、歓迎の挨拶。石井さんのご先祖さまが大正時代に建てられた隠居屋。農家の隠居が建てたのでこの屋号が付いたと言います。古い建物ゆえの空間の力をぜひ楽しんでと、お話しされました。

次に「お米を作る不動産屋」omusubi不動産の殿塚さんが、隠居屋のような古民家を残す難しさについて話しました。隠居屋の改装の話と前後して、合計3つの古民家の物件を扱ったそう。でも残せたのはこの隠居屋一軒のみ。

古民家を残す上での難しさは、残すことそのものや改装の難しさだけでなく、残した後の活用法にもあるとのこと。なので、この日のイベントは、古民家活用法のテストという壮大な実験のキックオフイベントでもあると話され、参加者は楽しく笑いながらも少し気を引き締めていました。


<「場」を活かしたコミュニティー作りのヒント~グリーンズの植原さんのお話>

「ほしい未来は、つくろう。」をコンセプトに、さまざまにポジティブな事例を発信するマガジンを中心に活動する、メディアでありコミュニティーでもあるNPO法人グリーンズ。活動の紹介をしながら、隠居屋の今後の活用に役立ちそうな事例を3つ、挙げてくれました。

①シンカイ金物店(長野県善光寺)

1階のもともと金物店だったスペースを活用して、マーケットイベント、アパレルブランド販売など開催して、地域のイベント拠点として広がりつつある事例です。

②豊岡劇場(兵庫県)

レトロな映画館なのにバーカウンター、カフェ、ライブ、ダンス、などとして地域に開いた拠点として活用されている事例です。

③尼崎傾奇者集落(かぶきものしゅうらく)(兵庫県)

もともと材木店の広いスペースをひとつの「村」として活用している事例です。ワークショップやコミュニティースペースなど、多様な使い方で地域のひとの集いの場として開いています。

<「場」を活かしていくために大切なこと3つ~植原さん>

どの事例にも共通するのが、地域のひとたちや企業も巻き込んで、地域の「ちょっと変わった拠点」になっている点です。どんなケースでも「場」を作る上で、ひとが集うような場にしていくために大切なことは以下の3つとのことです。

・継続こそ力なり(信頼を築く、諦めない)
・多くの意味をつくる(場にいろんな意味を持たせる)
・開いて委ねる(地域に開いて任せる)

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<ひとを集められる「場」にしていくために必要なこと~MotionGalleryの大高さんのお話>

これからの社会は多様化していくと考えると、コミュニティーも多様化して分散していくだろうという大高さん。これからは広く浅く広がるコミュニティーよりも、尖ってエッジが立ったコミュニティーが増えていくだろうと言います。

その中でひとを集められる「場」にしていくためには、コアなファンを狙ったコアなコミュニティーであること、エッジを鋭く立てること、場の意味を深く掘り下げることが必要になっていくとのこと。それらの点で成功したと思われる事例を3つ挙げてくれました。

⑴パーマカルチャー(千葉県いすみ市)

古民家を改装して、古くて新しいライフスタイル(パーマカルチャー、ヒッピー×テクノロジー)の拠点にしています。

⑵クシノテラス(広島県)

これも古民家を改装して、アウトサイダーアートを集めた拠点にしています。とても不便なところにある、なんだかわけのわからないアートを集めているのに、コアなファンが集まる場として成功しています。

⑶出町柳(京都府)

映画館と本屋とカフェの融合ビルを出町柳に移設した事例。一見出町柳とは関係のないひとたちが支援してくれたのだけれど、よく話を聞いてみると、以前出町柳に住んでいた、よく行っていたというひとが多かったのだそう。あの頃こんなものがあればよかったのに、という思いが支援に結びついたそうです。

また、提案としてpopcornという自主映画上映の仕組みも挙げてくれました。

ひとを集められる「場」にしていくために必要なこと3つ(大高さん)
・コアなファンを狙ったコアなコミュニティーであること
・エッジを鋭く立てること
・「場」の意味を深く掘り下げること


植原さんと大高さんのお話は、大きく分けると「周りを巻き込んだコミュニティーの作り方」「それぞれが良いと思うことにお金を回す仕組み」となるのではないかと、殿塚さん。


<「隠居屋」から松戸を盛り上げたい!~対談>

休憩を挟んだ後半の対談。まずはコミュニティーの拠点としての隠居屋の魅力について盛り上がりました。

植原さんは隠居屋を「フルスペック古民家」と表現しました。カッコよさと完成度の高さにびっくりされたようです。そして、この「入れ物」に何を入れるか、何ができるのかに対して「プラスアルファの意味」を持たせたいという話で一致しました。

また、大高さんは隠居屋を活用する上でお金の回り方について話してくれました。映画の上映会や、立派なキッチンを活かして日替わり飲食店、日替わり店長のカフェなどもおもしろいと。その際隠居屋を借りる代金と、イベントチケットという2つのお金を回していくと考える必要があるとのこと。

植原さんも大高さんも、誰かひとりが決めるのではなく、使い方のデザインの段階から、さまざまなひとたちを巻き込んでいけるとよい、と熱意を込めて話してくれました。

ここで殿塚さんが参加者に「何か隠居屋でやりたいことありますか?」との呼びかけ。手が挙がったのは以下の2つ。

・歌を作るイベント

歌詞やメロディーをその場で募集しながら、その場の即興で歌を作る。歌がが生まれる瞬間やプロセスの共有ができる点と、ライブを楽しめるという良さがあると、参加者から賛同のため息がもれました。ハプニングを楽しみたいねとの提案でした。

・包丁とぎの講習会+料理会+レストラン

包丁とぎのお仕事をなさっている参加者からの提案。包丁とぎの技術があるひとが減っているのに需要はあまり減らないとのこと。そして自分でやりたいひとも多いので、その講習会を開く。さらに、研いだ包丁で何か切りたいよね、ということで料理会も同時開催したらどうかと会場から。そして、食べに来るひとも一緒に楽しもうとの案になりました。


植原さん「街には多様なひとがいて、得意なものを持っているひとは意外にいます。得意なものを持ち寄って、多様なテーマでワークショップや講習会を開くのもいいかもしれません。眠れる才能の発掘もよく聞く話です。なにかを始めたいひとのきっかけになる場にするのもいいですね」

そして、「松戸には特色がない」という話へ。すると、大高さんが「ピンチを逆手に深堀りしてエッジを立てるといいですよ」と。特色がないように思えるなら、自分たちで勝手に決めた色を目立たせてしまうとそれが特色になるとのこと。

参加者の間から「おおー」というため息が漏れ、この場のみんなが、「松戸を盛り上げたい」と考えていることが見えた瞬間でした。松戸を盛り上げるのはこの「隠居屋」から。登壇者、参加者みんなで一致して閉会となりました。

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<おまけの話~Sunniy’s coffee&music>

イベントはドリンクを片手にゆるりとした雰囲気で行われました。コーヒーやミントティーなどのドリンクを提供したのは、Sunniy's coffee&music。おいしいコーヒーだけでなく、会場の音楽もセレクトして、とても心地よい空間を演出していました。


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