女の子の夏用ワンピのウエスト問題
いつも忘れそうになるのだけれど、私は服を作れる。小さい頃から工業用ミシンと戯れてきたおかげで、忘れるほどに当たり前になってしまった。
夏になると…
そんな私が、ここ数年夏になると悩むこと。晴れ渡った街で、交差点の真ん中で、叫びたくなるのだ。「あと2センチ上!あと2センチ!」と。
何のことかというと、女の子の夏用ワンピ―スのウエストの位置である。
厳密にいうと、「プリンセスラインのワンピースのウエストの位置」である。
ワンピースの形の分類3つ
ワンピースの形には大きく分けて、
・プリンセスライン
・Aライン
・ローウエスト
がある。
プリンセスラインは、腰の位置で上半身のパーツと、スカートが縫い合わせられている形。ウエディングドレスなど、「ドレス」の形に多く取り入れられていて、「お姫さまドレス」の意味でプリンセスライン。
Aラインは腰での切り替えがない。前身頃と後身頃がそれぞれ一枚布でできており、裾に向かって広がるアルファベットのAの形。
ローウエストは、その名の通り、低い位置での切り替えがある。腰よりもぐんと低い位置でスカートに繋がる。
「女の子の夏用ワンピのウエスト問題」とは
「女の子の夏用ワンピのウエスト問題」は、厳密にいうと「女の子のプリンセスラインのワンピースのウエストの位置問題」。
何が問題か。
「ウエスト位置が低すぎる」のである。
夏の女の子の必需品、ワンピース
夏の女の子にワンピースは欠かせない。体に触れる部分が少なくて涼しい。見た目もかわいい。ぱっと着てぱっと脱げる。よちよち歩きの女の子から、外遊びの好きな元気な小学生まで、夏用ワンピースは必需品だ。
暑くなると必然的に、街で行き交う女の子たちのワンピースパーセンテージは上がる。私が見かけるワンピースの女の子も増える。そして私は苦悶する。
服を作るひとの「服観察」とは
もともと私には街で行き交うひとの服を観察する癖がある。そういう女性は多いだろうけれど、私の場合は、「すてきだな」と思ったあとに「これなら作れるかな?どう作ろうかな?」が入り込んでくる。
おとなの女性の服を見て「すてきだな」と思うと、そのあとは「あのラインを出せる型紙の形は…」「あのタイプの生地の値段は…」「あの裾をもう少し短くしたら…」「あの袖のラインをこういじったら…」となる。
子どもの服を「すてきだな」と思ったら、我が家の子どもたちに似合うかどうかを考える。そのあとに「生地のタイプを変えたら見え方は…」「裾のフリルを別布にしたら…」「ステッチは何色で…」「ボタンの大きさは…」となる。
さて、「女の子のプリンセスラインのワンピースのウエストの位置問題」に戻ろう。
ウエスト位置はワンピースの生命線
プリンセスラインのワンピースのウエスト位置は重要事項だ。このタイプのワンピースの生命線だといっても過言ではない。大切なのは「実際のウエストの位置よりも高めにとる」ということ。
これを「実際のウエスト位置と同じか、低めにとる」とどうなるか?…寸胴に見えてしまうのだ。ずどん、と。たかが2センチ、されど2センチ。
さらに、女の子がワンピースを着る理由に「かわいいから」が入っているなら、これも裏切られることになる。かわいくない、さらに言えば重たげに見えてしまう。女の子の特権であるかわいらしさと元気の良さが、両方とも打ち消されてしまうことになる。
いっそのこと…の打開策
仮にもプリンセスラインのワンピースであるなら、ウエスト位置を高めにとるのは必須だ。そうでなければいっそのことローウエストを着せてしまう方がかわいらしい。すとんとした身頃に、低い位置からパッと広がるフリルのようなスカート。これも愛らしい。
もうひとつ、ウエスト位置の縫い目のない、Aラインの形もおすすめ。これは活発に動く、元気派の女の子に似合う。シャープな上半身から直線的に広がるスカート。シンプルで、女の子のかわいらしさと元気の良さが生きる。
さて、今年も夏がやってくる。この梅雨が明けたら、女の子たちはこぞってワンピースを着るだろう。そして私は「あと2センチ上!あと2センチ!」と、街中でひと知れず苦悶するだろう。
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