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『世界で最初に飢えるのは日本』を読んで

食料自給率が低い日本はこのままでは大変なことになるという本。これはこれまでもよく言われていることである。農業政策上の課題もある。それについては、ぜひ、本書を読んでいただきたい。政府に対して声を上げていくことも必要である。ただ、国民一人ひとりの意識も変えていく必要がありそうだ。

スイスでは、国産卵は1個60〜80円する。輸入品の何倍もの価格だが、国産の卵の方がよく売れていた。小学生の女の子は、「生産者の生活が支えられるのだから、高くても当たり前」・・農家、メーカー、小売が十分な利益を得た上で、消費者もハッピーなら、牛乳1リットルあたり300円、卵1個80円でも全く問題ない。(同書p.161)

『世界で最初に飢えるのは日本』p.161

この値段は高すぎると思われるだろうか。農家の方々の苦労を思えば、適正な価格で購入することが必要だ。職種を問わず、労働に見合った賃金が支払われていないのが、日本の問題だろう。欧米では最低賃金は時給2000円に近いそうだ。全ての人が正当な賃金を得て、地球と体に良いものを購入できる日本であってほしい。そのためには、安いものを求めるのではなく、互いの立場を労わりあえる私たちでありたい。

雨がたっぷり降るこの日本で、飢餓が生じるとすれば、肉体労働を劣ったことと考え、避けようとする風潮と無縁ではないだろう。肉体労働を劣ったことと考えるから、農作物に適正な価格がつかなくなる。農業だけでなく、介護、建築、コンビニ弁当の製造、縫製・・・など、きつい仕事は人気がなくなり、低賃金の労働になってしまった。エッセンシャルワークの価値を見直さないといけない。

全ての人が肉体労働と知的労働の両方にバランスよく従事するようにすれば、体も社会も健全になるだろう。人は頭と手足の両方を備えた存在なのだから。

バランスという意味では、最低賃金と最高賃金の差があまりにも開き過ぎているのも問題だ。何億も稼いでも使いきれないはず。一人で溜め込まないで、生活に必要な分だけ手にしたら、残りは社会に還元してほしいものだ。捧げることに喜びを見出せる人が増えれば、社会はもっと明るくなるだろう。そんな人づくりをしたい。
みんなで農作業や手仕事に従事しながら、このようなことを考えていく場を作れないかと思っている。


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