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読書記録「「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術」

 久しぶりの投稿、ChatGPTの使い方的な本が山ほど出ている中、より実務で使える内容が含まれていることを期待して、入手しました。
 結論としては、ChatGPTの使い方というよりは、仕事の場面でChatGPTをがんがん使うように促す、まさに「仕事術」の本でした。

1.「キーエンス思考」×ChatGPT時代の付加価値仕事術

(著者:田尻望、日経BP2023年)
 この本は、高付加価値企業として有名なキーエンスから独立してコンサルタントとして活躍する筆者が、ChatGPTを実践で活用する手法を書いたものです。

2.「キーエンス思考」とは

 まず、「キーエンス思考」の原則が述べられます。キーエンスを高付加価値企業たらしめている「付加価値」に関する考え方と、それをお客様にどう提供するか、お客様にとっての付加価値を、徹底的に、最小の時間とコストで提供する、というのがキーエンス流。そして、それを実現するために、ChatGPTを最大限に活用するのが著者の仕事術です。

3.なぜChatGPTか

 最大限の付加価値を出すために、ChatGPTを使いこなせれば、効率化による時短、アウトプットの質の向上が望めると著者はいいます。ChatGPTには、一般常識から世の中にある様々な情報までが盛り込まれており、疑問点を解決するためのヒントや、仕事の適切な進め方のヒントを提示してくれるのです。ネットで漫然と情報を集める時間はもはや必要なく、ChatGPTに適切な質問をし、掘り下げるポイントを指示することで、コンサルが作るような要点をまとめた資料が作れます。
 著者の危機意識は非常に強く、フリーランスの人に、できるだけ企業に就職するように勧めているそうです。その理由は、ChatGPTができない「提案」ができる人材以外は、仕事のニーズがなくなってしまうだろう、という危機感からです。
 一方で、ChatGPTを使いこなして自らの生産性を上げていけば、企業の中でも仕事のできる社員として評価されるだろうと述べています。

4.著者が提案するプロンプト

 本書には、著者が提案するChatGPTのプロンプトが35個提示されています。実際に使ってみると、プロンプトエンジニアリングによって精緻に組まれたプロンプトというよりは、ChatGPTから出てきた答えにたいして、「壁打ち」をしていき、自分が求めている内容により近づけていくやり方、というイメージです。
 著者の目的は、どんどんChatGPTにいろいろな質問をして、情報収集から深堀り、成果の取りまとめまで、今までには考えられなかったスピード感と質で進めていく、という方にあるように思います。
 ホワイトカラーの仕事は、顧客に新しく提案できる価値を生みだし、それを最短で実現していくことです。ChatGPTを使うことで、業界の特徴の把握から、検討すべき課題、データのとりまとめからプレゼン資料のまとめまで、超速で進めていくことができると著者は考えており、実際に自身の生産性は2倍以上になったということです。

5.まとめ

 この本は、ChatGPTに興味があるけれど、仕事でどうやって使えばいいのか分からない、ちょっと使ってみたけど、思うような答えが返ってこなかった、という人の入門書としてはよいものだと思います。
 著者のノウハウをまずは真似して、どんどん壁打ちをして、ChatGPTはこんなふうに使えるんだ、ということを実感していくことで、生き残れるホワイトカラーとして自らを鍛えていきたいです。

 私もChatGPTをとにかく使ってみるようにしています。その実感としては、ちょっと言葉悪いかも知れませんが、「すごく知識があり、仕事が速い、でも暴走して指示した通りの資料はなかなか作ってくれない部下」という感じでしょうか。それでも、文句も言わず、休憩も取らず、ご機嫌も損ねず、メンタルにもならず、膨大な資料を集めて抽出、要約してくれるパワーとスピードは、人間にはとてもかないません。パワフルなよい部下を持てた、と思って一緒に育っていくのがよいように思います。

 ChatGPTのお相手に疲れたら、「励まして」「なぐさめて」と声をかければ、元気が出る言葉も、すらすらと書いてくれます。

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