見出し画像

絵本が動画になりました。

しばらくnote投稿しないでいたら色々忘れてて、動画埋め込みできることを思い出すのに1日かかりました;というわけで埋め込んで再投稿。
2015年につくった絵本「All of Life is Special」の動画ができました。
文も絵も、つくったのは自分だけけれど、プロの方によるナレーションやBGMがついたものを見ると、全く違う作品みたい。

あれよあれよでこのご時世、思うこといっぱいですが。。。
今日という日をどう過ごすかを決めるのは自分。
そんなパワフルな言葉を、過去の自分の絵本から受け取ってみて、
「時間は実は未来から過去へと流れている」という最近聞いた言葉が頭の中でつながりました。

震災の年に始めたブログで知り合ったこのお話の主人公ハジメくんのお母さんから、ハジメのことを絵本にしてほしいとのお話をいただいたのが確か2012年。
ハジメくんご一家はアメリカ在住で、時差や、看病中のご事情もありながらの途切れがちな連絡の末、本格的に制作にとりかかったのが2014年だったと思います。

お会いしたこともない、不治と言われる病の苦しみの真っ只中で、自らの気持ちを伝える手段のほとんどをなくされた方のお話しを、文章も絵も任せていただいて作り上げるということは、ひたすら、想像、憑依、というか・・・私にはサイキック能力などないですが、例えばほとんどそんなような、言うなれば気合いで、ただただ彼の心にアクセスし続ける、という時間を過ごすことでした。

悲しみ、孤独、怒りや、イライラ、諦め、無気力、そしてある時は本当に自分が「TLS」(Totally locked-in state:完全閉じこめ状態)になったかのような恐怖感に触れた(ような気がした)こともありました。
こんなとてつもない恐怖の中にいるこの人は、どうしてこんなにもがんばれるんだろう。と。不思議に思ったこともありました。。。
その先に、というか、足元に、でしょうか。
見えてきたのは、愛。言葉で表現したらした途端違うみたいに思えるけれど、やっぱり、愛としか。。。愛でしかなかった。

とてもとても、とても苦しかったこの絵本制作の日々に得た葛藤は、絵本完成後それでもやっぱり色濃く残っていて、そしてすぐにまた別の方から絵本制作のご依頼をいただいたこともあり、私の中でこの絵本は、箱に入れて蓋をしてしまい込んだもののようになっていきました。
たくさんの人に読まれることによって、この病気のことを伝えたいというハジメくんのお母さんのお気持ちに賛同する気持ちとは裏腹に、怖れの気持ちもありました。
五体満足で普通に暮らしている人間が、何をどうがんばったって実際に病気で苦しんでいる患者の気持ちなんか本当にはわかるわけがないだろう。
実際には誰からもそんなこと言われたりなどしていませんが、そういう声が聞こえてくるような、恐怖でした。
ハジメくんの周囲の方はとても喜んでくれたけれど、見ず知らずの誰かのことは傷つけ不愉快な気持ちにさせてしまうかもしれない。と。
2015年の日本語版の完成の翌年、ハジメくんが亡くなって、英語版が完成してからは、この絵本のことにはあまり触れないようになりました。

2019年春、久しぶりにハジメくんのお母さんから連絡をいただきました。
絵本の著作権者である私に、動画化とyoutubeでの公開の承諾を得たいとのことでした。もちろん即承諾しましたが、その時、またあの不安がよぎったことも、正直なところでした。

しかし1年後、動画完成のご連絡をいただき、ナレーション、BGM、編集にプロの仕事を施され新しく生まれ変わった作品を目にした時、制作時のことを思い出しながら、私の中にあったはずのあの不安が薄らいでほとんど見えないほどになっていることに気づきました。

そしてあの言葉。「今日を、どんな気持ちで生きるかを決めるのはぼくだ」

当時、ハジメくんの心情として私に与えられたこの言葉が、今の私にはまるで「結局すべて大丈夫。だから安心して、思う存分表現しなさい」という意味の、もっと未来の自分からのメッセージにようにも思えて。

本当に、時の流れ、変化が加速しているのを実感します。
楽しみです。 楽しみます。

そしてそして、改めて、ハジメくんとの出会いに心から感謝します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?