幸せな欲望

部屋を片付けたくて、本棚にある本を全部出していたら、
なぜあるのかわからない本が出てきた。

女性起業家が書いた「欲」を出そう系の本。

「なんでこんな本があるんだっけ?」
と、パラパラとめくってみる。

「あ、〇〇さんが勧めてくれて買ったやつ。」
読まないな〜と思い、
いらないものボックスに入れようとした時に手が止まった。

帯の裏側に
”あなたには「欲」がありますか?
の文字。

即座に
「私の欲ってなんだろう?」と自問自答しはじめた。
パッと浮かんでこない。

欲ないのよね〜、、、
と、やっぱりいらないものボックス行きだなと思いつつ、
その帯にある次の言葉が気になる。

すぐに思い浮かばなかった人は本の中のワークをやってね。
的なことが書かれている。

裏表紙から本を開くと、すぐに「欲を知るノート」なるものがあって、
いくつかの質問に答える形式のワークになっていた。

パラパラと見るつもりが一つ目の質問で目が止まる。

1、神様がなんでも叶えてくれると言ったら、何を望む?

そこには、例)世界一周、とか、スターに会う、とか書いてある。
なんだかピンとこない。


今、神様がなんでも叶えてくれると言ったら、私は何をお願いするだろう。

「世界中のにゃんこを幸せにして。」
やっぱこれだな。

そう思った途端、

いや、それだけじゃ足りない。
世界中から工場畜産なくなって欲しい。
世界中の動物が幸せに暮らして欲しい。

一つ出てきたら、次々と出てきた。

ペットショップで生体販売なくして欲しい。
殺処分なくして欲しい。
鳥獣用の罠の使用を法律で禁止して欲しい。

動物愛護法改正して欲しい。
鳥獣法も改正して欲しい。

一つのお願いから次から次へとどんどんお願いごとが広がる。

こうやって、ポジティブに願いを叶えていくんだな。
世の中のキラキラした人たちは。
そう思った。

一つの「本当に欲しいもの(こと)」から、
あれも、これもと内側から溢れてくる。

本当はこれも欲しいの。
これも、これも、と。

欲望の蓋が開いたかのように、
叶えたい願いはたくさんあることに気づく。

そして、未来に前向きになる。

叶えていくにはどうすればいいだろう。
なにをしていこう。



同時に、
あれも、これも、
あっちも、こっちも、
もっと、もっと、
もっと、もっと、、、

たぶんこれはキリがない。
物欲と同じだ。

なにかが私にストップをかける。


買い物だろうが、
仕事だろうが、
保護活動だろうが、

もっと、もっと、
となってしまう背景にあるものに違和感を感じてしまう。

そこに幸せはない。

たぶん、これは過去の私の経験から来るブレーキなのだろう。



ある日の姉との会話を思い出す。


「なにか一個だけ、特殊能力が与えられるとしたら何が欲しい?」

運転しながら姉が私に聞いてきた。

「にゃんこと話せる能力。」
即答する私。

「やはし?」
とにんやり笑って
「やっぱそうよねー」と姉。

私たち姉妹は猫好き。
目の前にいるにゃんこたち、全てを幸せにしたいと思っている。


絶対これだ!と即答したはずなのに、私が欲を出す。

「にゃんこだけじゃなくて、動物全部と話せる能力も欲しいな。」

「だめだよ。叶うのは一個だけ。」
即、却下された。

「じゃあ、動物全部と話ができる能力。」

いつものように、笑いながら車の中での妄想ストーリーを楽しむ。


「にゃんこと話せる能力が欲しい。」

そう呟いて、手にしている本をいらないものボックスに入れた。

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