KAYO

小説、詩などを書くことが好きです。

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最近の記事

【短編小説】「Maybe,I know Her.」

〘 あらすじ 〙  高校2年生の鈴木奈美のクラスに、アリスという眼帯をつけた女の子が転校してくる。彼女は美しくミステリアスで、周囲と全く打ち解けようとしない。奈美は同じクラスの池田が気になっているが、池田はアリスに惹かれ始めている。日常の中で、奇妙な三角関係が変化していく。  奈美は最近、自分には「本当の」父親がいることを母親から聞き、心が不安定になっている。「本当の」父親は、自殺したがその原因は母親もわからないという。そのことを保健医の相原に相談するが、そのすぐあとに同じ

    • 【短編小説】「浮遊少年」

      〘 あらすじ 〙  東京に住む少年とその姉は、両親の代わりに育ててくれた祖父母の遺言に従って、祖父が結婚する前に使っていた別荘を、夏の間だけ使う事になった。  少年はある日、別荘の近くにある湖へ、夕暮れ時に遊びに行った。そこで、湖の上を歩く「浮遊」少年に出会う。少年は湖に通い、自分とよく似ている浮遊少年を、何とか湖から連れ出してあげたいと考え始める。  少年の姉は、何かに強く惹かれ始める弟を心配する。今まで従順だった弟が、湖に行き始めるようになってから嘘をつくようになったり、

      • 【短編小説】「白い金魚」

        〘 あらすじ 〙  主人公晃一は、交通事故で死んだ彼女の安英が忘れられず、彼女の置いていった金魚に彼女の幻影を見るような毎日を過ごしている。  ある日、通っていたスポーツジムで、安英に雰囲気のよく似た女性と出会う。一言二言話すうちに、晃一は彼女に惹かれ、元気を取り戻してゆく。  女性がプールにいるときはいつも周囲に人がいなくなる、プールに入ってくる姿や出ていく姿を見たことがないなど、女性には不思議な点があった。   デートに誘っても断られるが、晃一は意を決して女性に告白する

        • 【短編小説】「ドキドキ」

          〘 あらすじ 〙  主人公の小山美都は17歳の女子高校2年生。親友でクラスメートのハルと同じバスケット部に所属している。公式試合には一度も出場したことはないが、バスケットが好きで続けている。  ある日練習試合で隣の市の高校へ行き、そこで纜膳(らんぜん)という珍しい苗字の男の子に出会い、恋に落ちる。  ハルにその男の子のことを調べてきてもらうと、彼は長髪の女の子が好みだという。美都はショートカットなので、長髪のカツラをかぶって会いに行き、彼のバイト先を調べて自分も同じバイト(本

        【短編小説】「Maybe,I know Her.」

          【短編小説】「ぼくはかみさま」

          〘 あらすじ 〙  全宇宙を統治する「神様」の息子の「ぼく」。現在は神様見習いとして研修中。人間の人生の一部を決める部署の係長として頑張っている。見た目は人間でいうと「10歳のおぼっちゃん」。部下のウサギたちとともに日々仕事に精を出す。  部下の有給休暇中に事件が起こり、生まれて初めて人間界に下りていく。そこで前任者のミスを修正すべくある青年と接触する。その家族になり済ますことで任務を遂行するのだが、そこで一度も会ったことのなかった、写真立ての中の母親と再会する。母親は、その

          【短編小説】「ぼくはかみさま」

          【短編小説】「月とバス停」

          〘 あらすじ 〙  主人公の下野鞠(シモツケマリ)は、高校二年生。文化祭の実行委員会、学校の勉強、美術部の部展、バイト、人付き合い、夢である小説家になるために小説を書くことなどで忙しく過ごしている。  頼まれると断りきれない、また、忙しくしていないと不安であるという性格から、望んでもいないことを次々と引き受けてしまう。それらが重なって、心配してくれる家族にあたってしまい、後悔する。  そんなある日、疲れから赤信号に気付かずに道路を渡ろうとし、そこを助けてもらった男の子と出会う

          【短編小説】「月とバス停」

          【短編小説】「蝶蝶」

          〘 あらすじ 〙  主人公透也は、同じクラスの、ほとんど人と話そうとしない少女、鈴音のことが気になっている。親友の杏里も、密かにそう思っているようだ。しかし透也は、鈴音のことを素直に好きだとは思えない。蝶のように儚い感じのする鈴音を、なぜか憎いと思ってしまう自分がいる。  鈴音と関わりだしてから、少しずつ仲の良かった透也と杏里の二人に亀裂が生じ始める。杏里は透也に、鈴音のことを好きになるなと約束させ、わざと、鈴音とキスしているところを透也に見せ付ける。透也は困惑し、悩み、杏

          【短編小説】「蝶蝶」