作業の違い。Repair, Edit, Mix, Mastering

ボーカルレコーディングスタジオ SOUND SWIFT オーナーのKayです。
今日は定期的に訊かれる、作業のやることの違いを書いて音楽制作をよりロジカルに構築できるように記事にしておきたいと思います。

普段はBtoBでの企業さん案件もやるし、BtoCの個人のボーカリストやボーカルユニットさんの案件も扱っています。
双方どちらからも訊かれる内容に、「今何をしてるんですか?」というものがあります。その時の僕回答は、「整音(Repair)ですよ」、「Editですよ」「Masteringですよ」、というものがあります。その後ハテナが出ていそうな顔をされます。

おそらくどの方もMixに関してはなんとなくピンとくるようで質問されることはあまりないです。

では、
その作業の違いはなんなのか?
意味はあるのか?
というご説明をします。こちらは動画編集でも音楽でも共通で意味のある作業なので関わっている方は覚えておいて損はないはずです。

録音をしたばかりの音というのは実はそのまま使うことは難しいケースがほとんどです。細かなノイズ、ふくよか過ぎる低音、耳に刺さる中高音〜高音。それらをどんな媒体で聞いても問題ないように編集します。

まずは整音(Repair)

フロアノイズ(ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ギターならハムノイズなど)を取ります。サーとか、ジーとかの音ですね。
その後、クリックノイズを取ります。パチ!とかピっ!チッ!のような瞬間的になる音のことです。かきくけこの「き」の音を軽減することも多いです。
ボーカルで言うと口をひらいた瞬間のリップノイズがブレスに混在していることも多いです。ナレーションであればブレスはほとんどとりのぞくので問題ないのですが、歌の場合はブレスはとても需要な演出ですので、注意深くチェックします。動画製作会社さんからカラスを取ってくれ、と言われる事も有ります(笑)スペクトラムアナライザーで確認して、カラスの音を追い払うこともたまにします。

そして瞬間的に飛び出す高音、例えば2.2khlz〜2.6khlz、4.2khlz〜5.5khlz、9khlz〜10khlzあたり、にあるケースが多いです。
ラージスピーカーで聴いてる分には相対的に大丈夫なのですが、スモールスピーカーやイヤホンで聴くと低音が少なく高音が目立ってしまい、結果耳に刺さるという事がありますのでバランスよく取り除きます。

あとはマイクが近過ぎて低音が多すぎる為にもこもことした抜けの悪い音の場合もあるのでこちらも同様です。僕の仕事の場合だと、300hlz〜600hlzあたりに問題が発生してることが多いです。あとは不要な超低音、80hlz以下を取る事もあります。

ここまでを整音(Repair)として行います。

(、、、、ここまでがすでに長い、、、。)

次にEditです。

ここでは音量のコントロールをメインで行います。
レンジ(音量幅)を確認し、必要であればレンジを狭めます。ポイントは他の音とレンジが合っているかどうか?です。レンジの狭い音とレンジが広い音を同時に鳴らすと、レンジの狭い音の方がより前に居るように感じます。
かといって、レンジの広い音のトラックを音量を上げてしまうと今度は音が浮き出てるように感じミックスに差し支えます。
ですから、各トラックのレンジを揃えていく、という作業になります。
例えばロックミュージックのようにレンジの狭い音ばかりの時はボーカルもレンジを狭めます。
1176は狭めるのが得意なコンプレッサーなのでロックが大流行りした年代で大活躍し、今もなお人気なのです。
1176があるかどうかだけ確認するディレクターさんもいたらしいです。

そして、音色の加工。
数日前にやったジャスのときは音をわざと古くするために1930年代〜1950年代の音をつくりました。
他の音がレコードかなにかからサンプリングしたような音だった為、そこに合わせに行ったということです。
1950年代のサウンドに令和のサウンドを載せても構わないですが、1人浮いてるね。という印象にはなります。
先日の例で言うと、
メインボーカルは1950年風
ここぞと言うキメの時は1930年風(もはや蓄音機サウンド)
そして、両サイドで鳴らしたダブルボーカルは令和サウンドにしてみました。

他に、後ろでなっている音が未来のような音であれば、ショートディレイをかけて金属反響を混ぜてみたり、宇宙感があるなら、高音を削って(高音域が反響しないという物質が周りにある演出)、広い場所を意識するなら、深いリバーブをかけたりします。

こう言ったことがEditの内容です。「合わせる」という行為が近いかもしれませんね。
音は空気振動です
鳴れば空気が揺れて飛び出します
飛び出した音が何かにぶつかって跳ね返ってきます
耳で聞いてる音は、原音よりもこの跳ね返った音を聴き意識しています。
つまり、合わせる、という行為は、何にぶつかって跳ね返ったのか?
その物質はどの周波数を多く跳ね返すものなのか?

を意識しEditを行います。


(、、、、、やっぱり長い、、、、分けようかな、、、、。。)

次にやっと誰もがピンとくるMixの話

その名の通り、混ぜる、のが主目的です。
何かが浮き出ないように、おにぎりのようにギュッギュッと一箇所に固めます。
幼稚園児の団体行動を想像してみてください
わちゃわちゃしながらも先生(?)が前後に居てなんとなく一つの塊となって動いています。
1人だけぽつんと離れて居れば大変です。
このポツンとした子が居ないようにわちゃわちゃしな中にうまく入れ込みます。

最近フランスのアーティストFaveのUrusという曲をよく聴きます。あれはドラムのキックとボーカルだけが以上にでかいミックスになっています。

さしずめこの、わちゃわちゃした園児のなかに体おっきい子が2人いて目立ってる。みたいな感じです。
“合って”居ればこう言ったミックスもありだと思います。

最後にMastering

こちらは印象を司ります。周波数のバランス、塊の濃度、リスナーが初めてこの曲を聴いた時にどう思うか?を演出します。具体的には音量やラウドネス、周波数バランス、コンプ感ですが、他の記事でも色々書いてあるのでここではあえて先ほどの園児の話で例えてみます。

まずは塊感、濃度。わちゃわちゃしてた園児にもっとみんなくっついて!もっともっと!てより塊にし、なんかおっきな犬とかがぶつかってきても誰も倒れないようにします。ロックや、EDMなどはそんな感じ。ジャズやSoulの場合はもうちょっと緩く固める事も多いです。少しくらい空間あった方がリラックスできるよね〜みたいなゆとり保育士?先生?がいて園児たちの間に空間を設けた場合ですね。
コンプとリミッターで調整します。保育士が。

そして周波数の加工

園児が20人居るとします。
その子たちに何色の服を着せますか?
全員赤?それとま色とりどりの服を着せて色彩を演出?
赤と緑に分けてクリスマスっぽくする?
茶色とキャメル色にしておとなしめな涼しげな感じ?
真っ青な服と白でキメる?

それらが周波数の演出です。
イコライザーを使います。保育士が。

プラグインのメーカー違いというのは、この服のメーカーが違うようなもんです。
jpopのミックスはユニクロが大好きです。(※個人の見解です)

しかしアメリカの保育士はsupreme、NIKEを着せます。(※個人の見解です)

UK、EUの保育士はZARAや古着を着せます。(※個人の見解です)

わー規律正しい
わー派手
わーお洒落

というように曲を聴いた時の印象が違うのはそのせいです。ちなみに韓国は、規律正しく派手でお洒落です。(優秀、、、?)


ここまで書いたことはどれも重要です。
完成までの間でいろんなことを行って大事に作られているということを是非理解し、さまざまなジャンルで役に立ててください。
なんとなくめんどくさがりながらやってるプロの人なんていません。
なんとなくめんどくさがりながら生きてるかっこいい人なんていません。

さあ

かっこいい人になろう。

(なんの記事だっけコレ)



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