見出し画像

クラブミュージックとポップスの波形の違い


20歳の頃からクラブ系の音は何か違う、と思っていた。最初はキックの音で悩んだ。何であんなに音が太くて前に出るんだろう、、と。
そこには製作過程における大きな違いがあった。

売り文句ではなく正直、この情報は企業秘密にしたい。なんなら有料にしたい。と思っているのだが今は書いておこうと思う。いつか有料ワークショップにする時は削除する可能性もある。

まず、ポップスなどの歌メインのジャンルの製作過程から理解しよう
ポップスはピアノとかギターで歌の弾き語りのようなものを作ることが多い。そのあと他の楽器を決める。僕の場合は2番目はドラムのことが多い。
曲によってはシンセとか上物と呼ばれるやつ。
そしてベースは最後に入れることが多い。
最後にフィル、ライズアップ系、など細かな音。

そしてクラブ系の曲の作り方はというと、
まずサンプル素材から欲しい音を探す
例えば、サックスとか、シンセループものとか、ベース、ギターのリフとか。そしてドラムなどのリズムビートのサンプルを探してそこに乗せる。
これでほぼ完成系に近い。

ここまででは一般的な知識だ。ロジカルな理由までは届いてない。

じゃあ、なんで、その、作り方だと音が太いの?リズミックに聴こえるの?
という疑問だ。

それは

波形の違いだ。
この記事に辿り着いた方は波形、トランジェントシェイプに関しては既に知識に明るい人も多いだろうが知らない人の為に説明すると、トランジェントシェイプとは、アタック、ディケイ、サスティン、リリースからなる波形の形の事だ。

この波形の形を作る事そのものが、実は、"作曲をする"、"ミックスをする"、"マスタリングをする"、ということにイコールで繋いでも過言では無いと思う。

0から曲を作る(自分で演奏する)歌もの系の場合、多くはこの波形が持つ独自の個体差を重要視することが多い。
つまり一個一個の個性豊かな波形を壊さず生かしながら作り上げる事が多いのだ。(余談、和食の料理もそう教わるらしい)

しかし、クラブ系の場合、ネットやレコードなどで既に加工されているサンプル(波形)を使用する事が多いので個体差というのはあまりあるように感じない。ほとんどの音が圧縮され、加工され、トランジェントシェイプは完成された物になっている。

サンプルとしてネットなどにアップされている音は最初から

"クラブ系のトランジェントシェイプ"

という先入観や偏見、類とも音?に満ちた音に加工されているのだ。(ここではいい意味で)

だから作る手順の違いで完成形が変わっている。
ここまでは、製作過程の違いの理解の話。

じゃあ、実際、あの太い音はどうやって作るの?という事だが、

まず、コンプレッサーやリミッターなどで、抑揚を減らし潰す。ダイナコンプなどで、低音から高音までの周波数をある程度均一にしても良いと思う。

そのあと、一度加工した状態をマージしてオーディオデータ化する

ここで、トランジェントシェイプを作る
主に意識するのはアタックと、リリースだ。
どちらもかなり短めに設定するのが良い。


すぐ音が鳴ってすぐ消える。そんなイメージだ。
やり方としてはまず音をカットして四角いデータにし、そのあと、斜めのカーブを作る感じだ。

ただし気をつけないと行けないのがアタックはあまりにも早すぎると、ばちっ!!!!!!という音になり耳障りな事が多い。
一見音がデカく派手でかっこいいがこれを何分も聴いているのはとても辛い。

爆音で聴くジャンルだからこそ、アタックは抑えめにしたい。

左はポップスで良く見る波形
真ん中はクラブ形でよく見る波形
右はチル系でよく見る波形


こちらは一般的な波形。大抵の波形はこのような形をしている。つまり基準点となる。アタック(弾き始め)は音が大きく徐々に減衰していく。


こちらはクラブ系でよく見る波形で鳴り始めの大きな音が前の波形に比べると長く、遠目からみると三角と言うよりは四角く見える。リリース(鳴り終わり)はこれよりもっと短いことも多い。

そのリリースの短さがリズミックな雰囲気を作るので、これはかなり重要な知識だ。
大きな音が長く、消える時はパッと消える。これこそがクラブ形で重要な波形だ。
もちろん全部の楽器がこのような形をしているわけではないのだが、こういった波形の音が曲の主要部分を担っているか、そうじゃないかで曲の聞こえ方が変わってくる。


アタックの遅い波形。ぅぅうーわあぁぁ〜 みたいな音。チル形のサウンドメイクはアタックを遅くし、耳あたりの良い音に加工する。こちらはどのジャンルにも使われる。シンセで作られることが多いが、一度録音した音をこの形に加工すればどの楽器でもチル系にすることができる。


例えば上記のように、アタックは早く、ディケイ(どのくらい音量を維持するかの長さ)も早めに減衰していく波形と、アタックの遅い音をパズルのように組み合わせてアレンジをするとミックスがとてもうまく行きやすい。各楽器の音が重ならないので全ての音が聴こえやすい。


アタックは早く、ディケイも早い波形、例えばキックなどの打楽器と、音が大きいディケイが長いシンセなどの楽器を組み合わせ、且つ下の波形が埋もれないように、上の波形のアタックを遅めにしたものだ。
こちらはやはりクラブ形でよく使用される。



四角い音は音空間のほとんどを埋めてしまうので重ねて使用するとミックスがうまくいかなくなるため、上記のように重ならないようにしパズルとして作り上げていくと良い。音が交互に飛んでくるようなイメージだ。
そしてあのリズミックで踊りやすい全体が生まれる結果になる。

これはある種の答えと言っても過言ではなく、作曲家の僕としては商品そのものに等しいくらいの情報商材だ。最初に書いたように本当は無料で教えたく無い!


そして最後にポップスの波形の組み合わせのイメージも。
みて分かるように重ねることも多いが隙間も多い。
この隙間が抑揚を与え、情緒を生み出す。


いかがだったでしょうか?これらの知識は作曲、編曲、ミックス、リミックス、マッシュアップ、マスタリングに至るまで必要とされるものだ。
是非、自身の創作に役にたててもらいたい。



Sound Swift

ボーカルレコーディング・ボーカルプロデュース・音源製作・MV製作

Web site

Dawの相談や、MV相談や、音楽悩み相談などお気軽にどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?