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ハレの日ゴハンを研究するため嚥下食のお刺身をいただいてきました。

エフェクチュエ―ション実践サロン「スナックレモネード」お手紙係り谷口千鶴です。

学びと遊びを同時にするサロン

我々のモットーは「プレイフルネス」。遊びの中にクリエイティブは存在していると考えています。ですから、勉強中も決して重たい空気を押し付けず、お酒を呑みながらだったり、雑談を交えながらだったり、いつもリラックスした環境を整えています。また、大学院発のコミュニティーであるせいか、基本的に学習欲が高いメンバーが多く、「遊び」だけというイベントはピンときません。「遊び」と「学び」がセットになった時に、より楽しい気持ちになるようです。そういうわけで、今回は、店主の垣内さん(道頓堀たこ八副社長)と医師、管理栄養士のメンバーで嚥下食研究を行うために、兵庫県尼崎市のレストラン「蓮こん」さんに行ってきました。

メンバーは恥ずかしがり屋なので店主と私だけ

嚥下食は、飲み込む力が無くなった人でも食べられる食事

嚥下食とは、飲み込む力が衰えてしまった人などのために、飲み込みやすいよう形態を調整した食事のことを言います。ミキサーで粉砕したりとろみをつけたり、そのレベルは、召し上がる方の障害のレベルによって違います。病院では当たり前に出されているお食事ですが、町のレストランで提供してくれるところはあまりありません。
実はかねてより垣内さんからは、(私が「嚥下食のたこ焼きを作って」とうるさく言っているせいもありますが)「嚥下食っていうのが食べてみたい」とお願いされていたのですが、「店主と2人で嚥下食を食べるのもなあ…」と思ってなかなか行けずに…。まあ、コロナ禍でもありますしね。しかし今回、他校からjoinしてくれた医師が「嚥下食に興味がある」と言ってくれたので、「あ!これは偶然を梃子にする時だ!」と思い、決行することに。やるとなれば、せっかくですから、メンバーの管理栄養士もお声かけ。

見た目は大事

お邪魔したのは、尼崎の「蓮こん」さんです。こちらは、普通のレストランとしても素敵ですが、なんとなんと、お刺身のお造りやてんぷら、西京焼きのミキサー食も出してくださるんです。

尼崎の「蓮こん」 http://www.zayu.co.jp/renkon/

お刺身のお造り、カンパチ、マグロ、タイ、海苔もペーストに。

私は、仕事柄、ミキサー食というものを、何回か病院や施設等で見たことがありました。しかし、「食べてみようか」と言う気持ちには、1回もなりませんでした。やっぱりどうしてもおいしそうに見えないのですよね。しかし今回は別。「食べてみたい!」という気になりました。

天ぷら、普通においしかったです。

おそらく器や盛り付けのせいです。だって!だって!!見てください。下の写真は西京焼きなのですが、蓋の上にお花が載ってるのです~。

こんなしつらえだと期待感が…
お花の蓋を開けてみるとこんな感じ

食べてみるときっちり美味しくって驚きました。横に添えられた茗荷の酢つけとわらびのペーストも素敵ですよね。なんというか、「嚥下食だからといって片手間に作っているわけではないよ」という感じがいたしました。食は味だけでなく、思いやり、見た目も大事なのですね。お店の名前にもなっている「蓮こん」のお饅頭も美味しかったです。

左が普通の蓮根饅頭、右が嚥下食。

我が町に1つは欲しい嚥下食レストラン

これから先、高齢化は進んでいって、在宅移行もどんどん進みます。地域の中に、飲み込めない高齢者の方も増えてくるでしょう。そんな時に「蓮こん」さんのようなレストランがあるといいなといつも思っていました。たとえば、お孫ちゃんの七五三やお誕生日会の時、飲み込む力がなくても、家族と同じ素敵なレストランで、おなじ味を楽しむことができる、この「普通」が、最期の時まで出来るようになると良いなと。そして今回、実際に嚥下食をいただけるお店を訪問して、その思いは確信になりました。

何もできない人にもできる何か

とはいえ、私にはできることがありません。今日一緒にお店に行ってくれた医師や管理栄養士のように医療や食に関するライセンスもないし、店主(たこ焼き屋さん)のようにお店ももっていません(;'∀')
それでも、私は医療従事者を知っている、私は食を提供できるたこ焼きやさんを知っている。この「私は誰を知っている」は、エフェクチュエ―ションでは、「手中の鳥の原則」として、行動の原動力になるものです。嚥下食について私は何者でもありませんが、これまで通り、お手伝いの道を探ります。

「 彼らが 誰 で あるのか( who they are)」、「 何を知っているのか( what theyknow)」、「 誰を知っ ているのか( whom they know)」 から 出発することで、 機会をつむぎ出す。

サラス, サラスバシー. エフェクチュエーション (p.18). 株式会社碩学舎. Kindle 版.

さて、実際に現地に行ってみると別の気づきもありました。「飲み込めない人」は、高齢者だけじゃないと言うことです。このお店には、20歳前半の飲み込めない人がミキサーのお刺身を食べに来られるそうです。「飲み込めない人」=「高齢者」と決めつけていたけれど、いろいろな人がいるのですね。国は、小児の在宅移行も進めていますので、こういうケースは増えてくるのでしょう。やはり地域の中に一つくらいは、ユニバーサルなお店があるといいなと思います。

心豊かなレストラン「蓮こん」さん

http://www.zayu.co.jp/renkon/index.htm

嚥下食は手が込んでいそうでした。ゆえに、お値段もそれなりにするのかな、と思ったのですが、そもそものお料理のお値段と同じなのだそうです。また、嚥下食ですから、お味に期待はしていませんでした(すみません💦)が、全員全部ペロリと頂けるほど美味しいものでした。お店作りも立派できれいで、特別な日にピッタリのお店だと思います。駅近くでもあり、梅田からもあっという間に到着しました!ご家族やお知り合いに、飲み込めない人がいらっしゃったら、お知らせすると喜ばれると思います。

メンバーは恥ずかしがりやなので、私と店主のみで。


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