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「坊っちゃん」

 さけるチーズとビールと「坊っちゃん」。至福の時間である。

 高校の教科書に「こころ」はあるが、これは名前だけ知っていて大人になるまで読む機会がなかった。だいたい、教科書に載る人の本なんか面白いわけがないと勝手に思っていた。

 それでも、やっぱりこれだけ有名なやつは読んでおかなければと思ったのだろう、数年前に手に取った。読んだら、100年前とは思えない、ユーモアあふれるテンポの良い文章で、とても楽しませてもらった。

 今回は、臨床心理学者の河合隼雄の「深層意識への道」を読んでいたら、大の夏目漱石ファンらしく、推し?ていたので手に取った。やっぱり、夏目漱石はいいなあと思った。

 ただ、以前神経症だったということも聞いたことがあったので、そんなことがあってもこれだけ面白いことが書けるんだと、人間て面白いと思った。

 夏目漱石がこれだけ読まれているわけは、この人の人間的な魅力なのだろうと思う。

 読みながら、この何とも母性本能をくすぐる感じはなんだろうと何度か思った。真っ直ぐで正義感が強いけれど、なんかよくわからないプライド。

 それが、有名な
  「親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」
 という冒頭の言葉でよく表されている。

 赤シャツや野だに向かっていく態度は、やっぱり水戸黄門好き、ヒーロー好きな日本人にはたまらない。まあ、私がそうだからだけれど。

 とくに、職員会議は100年前もいまもさして変わらないということが私にはツボった。外眺めている人がいたり、ていたずらしている人がいたり。寝ている人には、たまにおいおいと思うこともあるが、きっとこれが正常なのだろうと妙に納得した。

 次は「道草」と決めている。こんなふうにゆったり本を読める機会も実はあまりない。コロナ禍の夏も悪くないと思う。

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