伝説のこどもたち まこちゃん1 支援とは?
まこちゃんは、メビウス症候群という診断がついてました。
メビウス症候群とは、「眼球の外転神経と、顔面神経に麻痺を生じることが主症状」です。
すなわち、表情がありません。
まこちゃんは、それ以外にも、嚥下障害や、下肢の麻痺と変形もあり、重度の知的障害でもありました。
日常生活動作は、全介助にちかく、また、発語がないのでコミュニケーションも取れませんでした。
1年生になっても、話すこともできず、車椅子を押してもらって移動していました。
そうそう、床では、膝這いでバタンバタンと時々手を床につけながら移動をしていました。
中学になってからかな?
施設入所になりました。
体が大きくなってくるとお風呂やトイレの介助がむずかしくなってくるので、施設に入れるという決断をされることが多かったと思います。
まこちゃんのお母さんは、車の運転をされないので、なおさらだったのでしょう。
病棟でも、訓練室でも、いつでも、まこちゃんは、床に座って右の手で、おでこを、軽く叩くような動作をしていました。手首も内側に曲がったまま固まっていたので、おもちゃなどで遊ぶことはありませんでしたが、それがまこちゃんの遊びだったのかもしれません。
全介助だったので、少しでも日常生活でできるものがさがせないかと、いろんな工夫をしました。
表情筋が麻痺しているので、彼がなにを考えているのかはわかりません。
それでも、食べるのは嬉しそうでした。
なんとなく、飲み込みにくいながらも、口を動かすと、目の筋肉が刺激されるので、涙がこぼれます。
懸命に食べているのが伝わります。
手にも麻痺があるので、スプーンやフォークは、持てません。
それで考えたのが、下の絵です。
テーブルに、ホース付きフォークを固定しておく、フォークの先には、パンとかソーセージとかを刺しておく。
不自由な手でも、ホースの部分をちょっと触ると曲がるので口に入れやすい。(当時は、支援グッズなど何もなかったので、なんか作ってばかりいましたね)
早速、まこちゃんに、「ほら、ソーセージだよ、食べてみる?」とか言いながら、なんとか、ホースに手をかけてもらえないかと、がんばるわけですが、全く、相手にしてくれない。
仕方ないから、私が、食べてみたりするのですが、それでも全く見てもくれない。
何日も、やったんですよ。でも、だめでした。
電話がかかってきたので、隣の部屋に行きました。
ドアの隙間から、まこちゃん見ながら、電話してると、ホースに手を伸ばして、食べてるんです。
おー!すごい!できたー!
まこちゃん、すごい!できたね!!
もう一回、やってみようよ。
ほら、ソーセージだよ。
…たべてくれませんでした。
*30年以上前のお話です。はてなブログに書いていたものを加筆修正しています。
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