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「療育」って…#5

 1:1の訓練は医師のオーダーにより開始されますが、発達障害の場合、最初に気づくのが言葉の遅れなので言語療法が処方されることが多かったです。しかし、私が感覚統合療法を始めてからは、言語療法と感覚統合療法が併用して処方されるようになりました。

最初の頃、子どもを連れたおかあさんは感覚統合療法の部屋を覗いて「うちの子は、言葉の訓練を受けに来たのですけど…」と、ブランコや滑り台を見ながら言われるのです。その度に「おかあさん、お子さんは耳が聴こえてないのですか?それとも、口の中に何か問題があってしゃべれないのですか?」と聞いていました。「そうでないのなら、身体使い方に問題があるのかもしれません。楽しく身体を動かすと自然に声がでるんですよ。」と言って誘っていたように思います。実際、ブランコやトランポリン、滑り台で大きく身体を動かしたり、歌を歌いながら乗ったりすると、自然に言葉は増えていきます。楽しく遊びながらなので、子どもたちはこの部屋が大好きになります。子どもの笑顔を見ると、おかあさん方もリラックスして笑顔が増えてきます。軽く相談などを受けることも多くなりました。

学習障害の子どももいて、机上の訓練もやっていましたが、それよりも外でタイヤに乗ったり、ブランコを大きくこいだりすることが楽しかったですね。その子が大学入学して中国に留学した時、お母さんから電話をもらいました。「不思議ですよね、ブランコに乗ってただけなのに、文字が書けたりできるようになったんですよ。」と言われました。
そう、机上で何回も漢字を書くよりブランコに乗りながら
クイズをやってるほうが、早く書けるようになる気がします。

クレヨンで床に線路を書いて、電車になってそこを走ったり、泡の出るスプレー缶を使って床一面を泡だらけにしてこどもたちをすべらせたり、壁に泡をペンキにして落書きしたり…昔はめちゃくちゃなことをして、子どもとお母さんと一緒に大きな声で笑っていました。子どもたちも、どんどん変わっていきました。

でも、40分間では足りないんです。 
で、次の枠の子どもも一緒に遊んでしまう。すると、子ども同士が、新しい遊びを考える…もっと楽しくなる。

きっちり40分とかで終わるようにすると、楽しい遊びも、途中になってしまったり、これからおもしろくなるところだったのに…ということがでてきます。

うーん、もっと時間をたっぷり使いたい。
そんなことも、考えるようになりました。

これは、また別の角度からの話なのですが、学校とかに見学に行くことがあります。一般的には、数時間なのでしょうが、私はほぼ1日います。何故かというと、どこでしんどくなるかを見つけたいからなんです。朝の時間?算数の時間?給食?掃除?帰りの会? そこを見つけることが、とても大事だと思っています。例えば、1:1で訓練(お勉強も含めて)をしていると、とてもよくできるんです。こんなに簡単にできるのに、なんで学校ではできないの?と、思えてしまいます。 集団の中のあの子たちは、違う顔を見せてくれます。だから、個別の訓練ではわからないことがたくさんあります。(見つけられないこと かな?)

学校でしんどくなってくると、元来持っている感覚の過敏性などがどんどんひどくなっていきます。やかましかったり、眩しかったり、給食がたべられない…そのうち触られることが痛くなったりしてきて、そばにいるだけでも、ざわざわし始めます。あっちにいって!と、手も出るようになり、頭痛や腹痛、吐き気などが始まって学校にいけなくなるのです。

(わたしは、訓練という言葉を使っていますが、これは療育です。本来、訓練はトレーニングという意味です。
療育はセラピー、つまり治療です。この原稿では、訓練という言葉を使わずに療育という言葉を使うべきなのですが、なかなか直りませんね。)

続きは、またの機会に…横道の逸れることだらけで、ごめんなさい。

写真は、5月の兜です。



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