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No.22 覚悟と別れ

妊娠と中絶をしたことは学校側の人間や友達、
親戚にも姉妹にも一切話さず
当面の間は隠して行こうと決めた。

両親の他に、彼も妊娠中絶の事実を知っていたので
公言しないよう釘を刺した。

今後、彼との付き合いをどうして行こうか。
悩みに悩み、彼と話し合いを重ねた末、
一緒にいると決めた。

私たちが幸せに過ごしていくことが
子供の幸せと報いになる。

そう思っていたが、それも長くは続かなかった。


実は彼にはとんでもない浮気癖があった。

寂しさからなのか、家庭事情が悪いからなのか
何からきているものかはわからないが、
私の目からは執拗に女を求めているように見えた。

中絶した罪悪感が強かった私は
彼を何度も何度も責め立てた。

降ろした子に申し訳ないとは思わないのか。と。

そこで別れれば良かったものの、
彼と過ごした時間や好き合っていた思い出を
なかなか手放す事ができず、
超がつくほどお人好しだった私は

嫉妬しては喧嘩し、浮気されても
私が渋々それを許し、
また嫉妬しては喧嘩し、浮気され、それを許し、
の繰り返しが高校卒業前まで続いた。



大学受験の時期を迎えた頃、
私は周りより一足先に受験を終え
晴れて看護学校に春から通うこととなった。

私たちはお互いの両親には内緒で
まだ一緒にいたが、
志望校がなかなか決まらずイライラしていた彼は
よく私に当たるようになった。

女癖も治らず、イライラしては私に当たる彼。

私は我慢の限界まで達し、卒業の1ヶ月前に
寒空の下で彼に別れを告げた。

彼は驚き、また苛立ちと辛さが込み上げたのか、
私がプレゼントしたマフラーを道端に捨て
何か暴言を吐いて私に背を向け歩いていった。

彼といた2年間は楽しくて幸せだったが
その反面、辛さもたくさん知った。

人生の中で経験しない方がいい事も
彼とは経験している。

側から見れば決していい彼氏とは言えないだろう。

だが、彼と過ごした時間は私にとっては
本当にかけがえのない幸せな時間だった。

彼と別れた1ヶ月後に卒業式を迎え、
私は無事高校を卒業し大学生になった。

大学生になって新しい出会いにも恵まれ
看護師を目指し順調だったかのように思えたが、
それも夢の如く散っていくことになるとは
この時はまだ何も知らなかった。

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