天官賜福 原作魔翻訳しながら読む記録(のための前置き)

2022/8/18 中華BLと突然の衝突

体力づくりのため運動(スピンバイク漕ぎ)しながらアニメを見ている。有酸素運動に30分という区切りがちょうど良いので。
何か気軽※①に見られるもの、とNetflixパトロールをしていた所、「天官賜福」というタイトルを発見。なんかマイリスに入れていた※②。中国アニメが今スーパー面白い!のは「時光代理人」で良く分かっていたので、見る事にする。のっけから1話タイトルが「何か」を漂わせている。太子の嫁入り…え…嫁、入り…???? 調べると、ジャンルは中華BLのよう。へえ!! 中国のBLアニメ、しかも神仙系のファンタジーなんだ!! ワクワクしながら視聴開始、OPで監督が時光代理人の李豪凌(リ・ハオリン)監督である事に気付き更に期待値が上がる。
そこからは、坂道を駆け降りるように…いえいえ神仙郷に舞い上がるように??とにかくすごいスピードで「どこか」へ連れていかれてしまった。寝ても覚めても天官賜福の事を考える日が始まり、今もそれは続いている。
※①今思うと伏線でしかなく見事衝突事故を起こした。しばらく運動中のアニメは過去視聴したものだけにしようと硬く心に誓う。同作者様の別作品「魔導祖師」も複数の方からおススメされているので見たいが、今ちょっと心が満タンすぎるのでまた後日!!!!
※②あとから思い至ったが、多分「時光」視聴後に李監督の記事をどこかで読んでる時、この作品のタイトルを見てマイリスに何気なく放り込んでいたようだ。伏線回収その2。

「時光代理人」の魅力

「天官」に通じる李監督作品の魅力について。制作は「天官」→「時光」で私は逆の順で履修した。最初に「時光」を見た時、話の緻密さ、キャラクターの魅力、そして彼らがいる世界の非常に美しくノスタルジーに溢れた描き方に感銘を受けた。でも何より好きだったのは、この作品はBLではないけれどトキとヒカルの間にある特別な絆を言葉に頼らず繊細に伝えてくれた事だった。トキもヒカルも、見た目や表面上の性格が魅力的なのは勿論の事、一段深い人間性では弱さや事情を抱えている複雑な人物として描かれている。そしてあまり表に出さない場所で、お互いがお互いを光と見做し頼り求めて繋がっている。こんなん…大好きに決まってる…よ!
と言うわけで弱さを抱えた美しい男性同士の恋愛を至上のものとして好む私にとって、この監督が描くBLならきっとどれだけ期待をかけてもかけすぎにはならないだろうという姿勢で視聴に望んだ。そしてその期待は果たされたばかりか、アニメを2日で駆け抜けた直後からもっとこの2人の先を見たすぎて発狂しのたうち回る哀れな生き物へと成り果てる事になった。ツイートを見返すと初っ端の呟きの無邪気さに己への憐れみを禁じ得ない。大使殿下、哀れな衆生をお救い下さい…!!!!!!ここに太子殿を建てよう。

※ここから、「天官」の内容に触れていきます。そもそもファン歴1週間にも満たない人間の記述なので重大なネタバレ等はありません(早く私が全てを知りたいよ)が、1ミリも作品の情報を入れたくない方は読まない方が良いと思います。

アニメ、凄すぎるでしょ…

いや本当にこんな理想的アニメ化はそうないでしょう!? 見識が狭いので主語が大きくなるのは避けたいが、BLってメディア化がとても難しいジャンルの一つだと思う。まず主役2人、原作ファンとしては美しい男×2の作画は万が一にも乱れたら許さん!っていう前提がある。推しの至高の顔面が乱れるの、誰だって嫌だよね?? そしてBLというのはそもそも萩尾望都先生の作品※①などを見ると分かるが、「女性が少年という皮を手に入れた事により、生々しい性愛を伴う恋愛を超えた魂同士の共鳴という愛情表現を描く場所へと到達した」という…書いててもなんかちゃんと表現出来てる気がしないが、つまり言葉にするとその本質を損なう気がするくらいに非常に繊細な、魂みたいなもの、を中核とするジャンルだと思ってるんですよ私は※②。この世界ではどうあがいても得られない、非常に美しく柔らかい絆を手に入れてみたいという願望を満たしてくれるのがBLなんじゃないか。ただの恋愛ではない、恋愛を「も」含む深い絆。それは描くのにも読むのにも繊細な感性が必要だからこそ、素晴らしい作品に出会えた時はこちらの魂までもが震え、浄化されたような深い感動を覚える。そんな特殊性を持つジャンル群だと思っています。
(前置きここまで)
で、「天官」のアニメはというと。原作は中国のWeb小説で作者は墨香銅臭(ぼっこうどうしゅう)先生、なので最初に触れるのがアニメというのは、別メディアを経由する事で前述したような作品の持つ繊細な核が原作と乖離してしまい元の表現を損なっていても、それが分からないリスクがあった訳です。でも先に述べた通りぜんっっぜんそんなん杞憂、というか凄すぎました…!!!!!!
※①ここで言及してるのは「トーマ」「ポー」の事です。「残酷な…」とかは未読です。心臓の弱いオタクなので…。
※②この項で語っているのがBLの全てではないのは重々承知であり、むしろ自分がBLのどこに魅力を感じてるのか?という自己分析なので主張では無いです。というか望都先生作品はBLじゃないしな。ジャンルがそのスピリットを継承してるというか…。BLは広大で、一言で語るのは難しい。


目で、手で、語らずとも愛を語る

アニメ。ほんとに…タイトルの通りなんですけどもね…。すっっっごいんですよ。
まず正確に原作再現しているかというとそうでもないです。追加キャラクターもいるし、セリフも足されてたりするし。でも概ねストーリーの流れを整えて補強する事にそういった要素は使われています。いい意味で自由。
そしてこれは個人ブログや呟きの拾い読みから知った事なのですが、中国政府はBL的表現の規制傾向が強いらしく、大っぴらに男同士の好いた惚れたをやっちゃいかんようなのですね。だから元がBLでもメディア化の際はブロマンスの建前でやる…そうです。じゃあジャンルが違ってしまうし表現も弱まっちゃうんじゃない?と懸念が出てくるがクリエイター側も強かで、ギリギリ通るくらいの「そういう表現」を進化させていると。そしてこの強かさが、李監督の表現手腕と相まってとんでもねー事になってるのが「天官賜福」です。
(やっと作品の話に入れる)
「天官」の中心となる2人は見た目は天女、中身はハイパーつよつよ武神の謝怜(シェリェン)…a.k.a「太子殿下」とこの世の厨二を煮詰めたような超絶美形の鬼の王様、花城…a.k.a「三郎」(ホアチョン/サンラン)です。左右は「花怜」。2人ともたおやかでかわいく、並んでるとものすごく目に良い。強く、優しく、美しい男同士の壮大な恋(どのくらい壮大かというと、原作本の帯に「800年、貴方に焦がれ続けた」って書いてある。は、はっぴゃくねん…)、好きすぎて泣きそう。
で、この2人が12話かけて愛を育んでいくんですけど、その傍らそれぞれの過去の激重設定がチラ見せされたりすごい血生臭い事件を解決したりしていくので見応えがあります。サブキャラたちも麗しかったり面白かったり、いい味出してます。時光の時も思ったけど、李監督のサスペンスは本気で怖い。…作品への好きが溢れて中々先に話が進まないな。まあとにかく、すごいのはこのアニメ、BLだけども「好き」の一言もキスの一回も無いんです。でも、三郎の殿下への切々と降り積もった恋心はめちゃめちゃはっきり伝わってくるし、殿下が段々そんな彼に心を揺り動かされていくのも手に取るように分かる…!!!恋愛的な言葉の応酬は無くとも、2人はそもそも出会った時からかなり仲良しで回を増すごとに仲良し度が増していくばかりなのでずっと健康にいい。やばいくらい色気ダダ漏れの魔性の美少年三郎に対し尋常じゃない包容力を持って接する殿下のやり取りがね、一生見られるくらい可愛くて可愛くて…。三郎は小生意気な余裕綽々さがデフォなんですが、殿下に同衾(ほんとただ横に寝るだけのやつ)誘われた時は容易く動揺します。またその時の表情が超可愛い。触れたくても触れられないし、触れる時はほんとにそっと…万一にも肌の一片、髪一つ傷付かないよう、繊細な触れ方をする三郎。そんな彼を優しく受け止めつつ、時折こいつ鬼では?と疑ってみたりしつつ(殿下は根は高潔ですが、色々あってかなり強かで雑草のようにしぶとく本当に面白い方です)ほのかに好意を向けられる度彼への思いを募らせていく殿下。心が震えてる時の瞳の揺れ方…特に最終話は1話かけて延々と2人のやり取りをこういった瞳や指先の演技で堪能させてもらえて、こんな繊細な恋模様をアニメとして見られるなんて感無量です。

アニメと原作は相補関係

原作は邦訳一巻目が出たばかり、早速爆速読破し気付いたのですが、原作(とても文が美しく読みやすい)ではキャラクターの表情の表現などは基本最低限なので、同衾に誘われすごい可愛い照れ顔する三郎はアニメ側の足した表現だったのでした。えっすごい…!!!!!足した表現が「キャラクターの心情的に適切」&「めちゃめちゃ可愛い視聴者が見れたら嬉しいもの」なの、すごいな…!?こういった補強が随所にある上、足されたすごい破壊力のセリフなどもあり、並々ならぬ原作理解&リスペクトをこんなにもアニメから感じるなんて、素直に嬉しくて堪らないです。逆に原作では殿下、この時の三郎をそんな風に見ていたんだね…めっちゃ内心で褒めてるけどもう好きになっちゃってるよね?などとほくそ笑む描写もあり、まさに幸せな相補関係が成り立っているのが稀有な事であり素晴らしいなと思います。
そんなわけで、原作一巻を読んでますますこの作品への愛着は尽きせぬ…となってしまいました。一巻にはアニメの続きのお話が後半に入っており、えっちなサイコロコロコロを見せられてただ頭を抱えます。

もっと…!!!!もっと花怜をくれぇ!!!!気が狂っちまうよぉ…!!!!!!!!!

なお、調べた所この作品は完結済みで台湾経由で書籍化されており本編4巻+番外編2巻(であってるかな?)が出版済みとの事。勿論中国語です。えっ…!?万事休す…ってコト???!!!(翻訳版を大人しく待つには気が狂いすぎてて端から無理)

レッツ魔翻訳

そこで検索の鬼と化して見付けたのが「魔翻訳」なるもの。界隈では全然ポピュラーな手法であり、ざっと検索しただけで沢山tipsが出てくる。ありがたやありがたや…。
私が一番参考になったのはこちらのブログ↓

https://assnoyoake.net/chinese-translation-app/

各アプリの訳比較の所は読み物としてもすごい面白い。ルー大柴とか突如刻むラップとか。他にも色々見て自分なりに使いやすそうなアプリやツールを確認してから、台湾版書籍をゲットしました。

そして
①本を開く
②一太郎pad(アプリ)でパシャリ、文字起こし完了
③縦式(アプリ)で誤変換、句読点(。とか,)を修正、誤訳防止。
④百度翻訳(アプリ)に文章をコピペ
⑤なんという事でしょう!いい感じの日本語になった文をまた縦式にコピペ、整える
⑥読む

以上の作業を繰り返し、2日で2巻1章を魔翻訳し終えました。

②〜⑤の中にはやらなくてもいい作業が含まれていて、例えばLINEで写真送ると直で翻訳文送ってくれる便利ツールなどもあるみたいなのですが、ひとえに私がなるべく正確な訳で続きを読み2人のやり取りを堪能したいがため、作業工程を自ら多くしております。特に会話は、理解出来るレベルじゃなくて2人らしい言葉遣いに直して読みたい!!!!!あと縦式は同人誌作成にも使っているのですが、文字データは全てファイルにして保存してくれるので読み返しやすく、クラウド保存すればスマホの容量も食いません。iPadで訳し終わったものをiPhoneで見てニヤニヤも出来る。

翻訳アプリに多謝

百度翻訳を選んだのは文字起こし機能が付いていたからなのですが肝心のそれは上手く作動せず、一太郎padに託しました。肝心の翻訳はというと、かなり自然かつ素敵に訳してくれます。人名や固有名詞が訳されちゃってるのを直したり、なぜか時折一文飛ばして訳したりするのでそれをまたコピペして足したり、些細な手間をかけるだけでオッケー。意味不明な文章も時折ありますが、そこは雰囲気で読んだり、重要そうな所は他の翻訳アプリを頼ったり。iPhoneにデフォで入ってる翻訳アプリで無問題。中国語スキル絶無なので本当に文明に感謝するしかない。
肝心の中身はというと、もう2人が初っ端から仲良しであり可愛くて可愛くて、幸せすぎる。武器庫のとこ、中国語で見ても絶対これ可愛いやつじゃん!?!?って思って訳したら予想の一億倍可愛くて倒れた。さ、三郎〜!!!!せっかくなので魔翻訳しつつ都度感想を記し、突如始まった中華BL狂乱編人生を数年後読み返して大いに笑いたいなぁと思う。
天官賜福、百無禁忌!


…後で絶対恥ずかしくなるけど一度でいいからこれで締めかった。

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